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薬院法律事務所

刑事弁護

スマホながら運転に対して、裁判所は厳しいです


2019年03月14日刑事弁護

通常の過失運転致死(被害者1名、飲酒運転等なし)は前科がなければ執行猶予がつきます。

法曹時報71巻2号の最高裁判所事務総局刑事局「平成29年における刑事事件の概況(上)」(法曹時報71巻2号263頁~)に統計が載っています。過失運転致死について平成25年の全部執行猶予率は91.2%だったのが、平成29年は95.0%に上昇しています。91.2→94.1→94.3→95.4→95.0です。

しかし、運転中のスマホ利用による交通事故については、裁判所の態度は厳しいです。これは禁固2年6月の実刑です。

判例時報2392号83頁~の大阪高裁平成30年10月14日判決(禁固2年8月)は、何故スマホ脇見運転が厳しく処罰されるのかを詳説しています。

「本件は,平成28年8月11日夜,普通乗用自動車(軽四)を運転中に,スマートフォンでポケモンGOのゲームアプリを起動して停車中などにそのゲームの操作を行うなどしていた被告人が,スマートフォンの電池残量が不足していると考え,車内で充電しようとして充電コードを差し込むことに気を取られ前方左右の注視を怠ったために,進路前方の横断歩道上を自転車で横断中の当時29歳の被害者の発見が遅れ,急制動の措置を講じたが間に合わず,自車をその自転車に衝突させて被害者をも路上に転倒させ,2週間後に,被害者を高エネルギー外傷によるびまん性軸索損傷により死亡させた,という過失運転致死の事案である。」

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87140