ハラスメント加害者が、被害者の「被害の自覚」を抑圧する手法について(「傍観者」の作成)
2024年03月11日労働事件(企業法務)
時々、ニュースで組織内における常習的なハラスメント行為が発覚してその地位を追われる人たちがいます。「なんでこんなになるまでに誰かが指摘して問題にならなかったのか?」と思われますが、私は、そこには「被害の自覚」を抑圧するという心理操作の手法が使われていると考えています。DV事案などでも良くある手法ですが、大規模なハラスメントにおいては「傍観者の作成」ということが特に重要です。
私自身の経験ですが(特定を避けるために一部脚色しています)、以前、特に親しくもない高齢男性から唐突に食事に誘われました。その場には若い女性も一人いて、年配男性と男性弁護士2人、若い女性の合計4人の構成になったのですが、年配男性が、その時一緒いた若い女性にやたら親しげにあれこれとプライベートのことを聞く感じでした。私は「ううん?」と思いつつも、二人の関係性がわからないので何も口を挟めませんでした。流石に体を触るといったことはしていませんでしたが…ただ、年配男性の行為は、今考えると、弁護士を傍観者とさせることで、助けを求めても無駄と思わせる手口ではないかと考えています。私は、その女性が嫌がっているのを本能的に感じたのでしょう。だから私がしゃべりまくった記憶がぼんやりとあります。その後、その年配男性とは縁が切れています。私が思ったように動かない相手だったからかもしれません。
こういうタイプは「立派な人権活動家」に擬態していることがありますので、弁護士の皆さんには特に気をつけてもらいたいです。自己肯定感が低下している人たちは、サイコパスにとって格好のコントロール対象ですので、「人権活動家」となることは一番獲物に近づきやすい手段なのです。そういう場面では、弁護士としては、儀礼的に、その「人権活動」ぶりを褒め称えてしまうわけですが、若い女性から見たら「立派な弁護士の皆さんたちが、この人を褒め称えていて、私に対するセクハラ行為についても笑って流している。」と思い、【私がこれを「苦痛」、「嫌だ」と思い込むのが誤りなんだ。そう思ってはいけないのだ】という思考に誘導されます。そして凄まじい苦痛を抱えつつも、それが表面化しないので、ハラスメント行為は存在しないものとして扱われるのです。そして、苦痛を自覚・表明できない関係にして、少しずつセクハラをより深めていきます。この時は常に「笑顔」です。「笑顔」を見せられると「悪意」がないんだろうと誤認させられますので。【認知のゆがみ】を被害者に埋め込んで操るのです。そして、被害者がとうとう耐えきれずに抗議をしたら、「君も喜んでいたじゃないか」と逆に「被害者のふり」をします。被害者が「これ以上波風を立てたくない」と思って「笑顔」を見せていることをわかりながら、「喜んでいた」と言い張るわけです。もちろん、この被害者は【男性】であることもしばしばあります。しかし、より潜在化しやすいので表面化しないだけだと私は考えています。
さらにこの手法は、「傍観者」とされた者に「悪事を見逃した共犯者だ」という罪悪感が生まれることから、その認知的不協和を解消するために、「女性も笑っていたから、あれは被害ではなかったんだ」と自己正当化を促し、あるいは「あの人は凄く立派な人だったから私はあえて言わなかったんだ」と合理化させることで、本来は大した価値がないハラスメント加害者をまるで「素晴らしい能力・功績がある人」だと思い込もうとしてしまいます。つまり、堂々とハラスメント行為をすることで、ハラスメント被害者の認知を歪ませハラスメント被害者に対する支配欲(コントロール欲)を満たしつつ、性欲も満たし、かつ傍観者に対しても支配欲を満たせる上に、傍観者の認知を歪ませ称賛を集められる(しかも称賛した以上は悪口を言いにくくなる)という最高の手法なのです。
これに対しては、「王様は裸だ!」と異議を述べていくことが大事で、いかに立派な功績がある人でも、ハラスメント行為が正当化されるわけではない、ということを自覚して、注意していくことが大事だろうと思います。
なお、【傍観者も「加害者」だ。沈黙は賛同だ。】などといわれることがありますが、私はそういう主張は誤りだと考えています。「傍観者」もサイコパスによる心理操作の被害者です。傍観者を「加害者」とすることは、本来の加害者の責任を希薄化する言説だと考えています。
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