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薬院法律事務所

刑事弁護

初犯の大麻所持(施用)事件、私選弁護人に依頼すべきかという相談(大麻、刑事弁護)


2026年01月24日刑事弁護

※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

 

【相談】

Q、私は、福岡市に住む20代男性です。SNSで大麻を入手して使っていたのですが、職務質問を受けて大麻が発見されてしまい、押収されました。インターネットで調べると大麻所持や施用は初犯であれば執行猶予付判決になるので、国選弁護人で十分という記事も見ました。私選弁護人をつける意味はあるのでしょうか。

A、一般論として、自白事件で、薬物の所持量が多くなく、既に起訴されている初犯の事件という場合には、国選弁護人でよいことも多いと思います。もっとも、起訴前の事件であれば、職務質問等の手続きにおいて違法な手続きがあればその点を弁護人が指摘することで不起訴になることもあり得ますし、在宅事件の場合は逮捕回避の活動のために私選弁護人をつけることが有効なこともあるでしょう。弁護人いずれにしても、薬物事件に詳しい弁護士に面談相談をすべきだと思います。

 

【解説】

 

大麻や覚醒剤の自己使用、自己使用目的所持については初犯であれば執行猶予付判決になることが多いことは知られています。そのため、既に起訴されている事件であれば、今更私選弁護人をつけても結果が変わらないということも多いでしょう。もっとも、起訴前であれば十分に事実関係を吟味することで起訴を免れる可能性もありますし、逮捕回避のために私選弁護人が活動する余地があることもあります。また、大麻に限らないことですが、違法薬物自己使用案件については、再犯リスクがあります。本人としては「二度とやらない」と思っていても、意思だけで止められるものではなく、再発してしまうこともあります。薬物の離脱支援という意味でも私選弁護人をつけることに意義があることもあるでしょう。

 

【参考文献】

 

植野聡「刑種の選択と執行猶予に関する諸問題」大阪刑事実務研究会編著『量刑実務大系第4巻 刑の選択・量刑手続』(判例タイムズ社,2011年12月)1-103頁

【薬物事犯は,後記(4) アの段階的処遇になじむ犯罪であるといわれる。犯罪の内容が自己使用あるいは自己使用目的の所持にとどまり,薬物の害悪の現実的かつ対社会的な発現の程度が低いものであれば,初犯なら原則として執行猶予を付することになじむであろう。発覚が遅れただけでかなり常習性が進んでおり,幻覚症状などの害悪の発現が認められる場合であっても,起訴事実が自己使用又は比較的少量の所持の限度である以上,執行猶予を原則とし,再犯のおそれが現実的に懸念される場合には,保護観察を活用することで対処するというのが現状であるように思われる。逆に,薬物の中でも,特に害悪が強い覚せい剤関係の事案を中心に所持量が相当多量で,自已使用のみの目的によるとは考えにくく,仮に自已使用目的であっても,それだけの覚せい剤を所持していること自体から極めて強い親和性・依存性等が推認できる事案や,有償譲渡あるいは無償でも相当数の相手方に対する譲渡を伴う事案などでは,実刑を視野に入れざるを得ず, さらに,営利目的による覚せい剤の所持・譲渡の事案では,不特定人ないし社会一般に対する害悪拡散の危険性が類型的に高く,重量が少量にとどまるとしても,関与の態様が極めて従属的であることに加えて,再犯可能性の乏しさなど,一般的な情状によほど有利なものがある場合を除けば,執行猶予を相当と評価する余地は乏しいように思われる。】(56頁)

https://www.hanta.co.jp/books/6418/

 

 

大麻所持・自己使用事件弁護要領