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薬院法律事務所

刑事弁護

同種余罪があることは量刑にどのような影響を与えるのか(盗撮、万引き、大麻所持、道路交通法違反)


2021年08月01日刑事弁護

一般論として、同種余罪による量刑加重については、それほど影響がないものとされています。理由について述べた代表的な文献から説明を引用します。

増田啓祐「常習性と量刑」大阪刑事実務研究会編著『量刑実務大系第2巻 犯情等に関する諸問題』(判例タイムズ社,2011年10月)138-158頁

146頁
【同種余罪も, かつて同様の犯罪行為を行ったという意味において,常習性を推知させる事情ではある。同種前科の場合と同様罪名の同一性, 犯行態様や動機の類似性余罪の数,時期は,常習性の程度を推知させる事情である。
しかし, 同種余罪においては, 同種前科と異なり,処罰により設定されたはずの強い規範を乗り越えたということはできないから, その意味で‘特に同種前科との比較において、同種余罪があるからといって, それほど高い常習性が推知されるわけではないということはできる。また, 同種余罪は, あくまで起訴外の事実であるから, 同様の犯罪行為を繰り返したという意味において行為責任に影響を及ぼすことはないし, 同種前科と違って刑の感銘力を媒介として行為責任を重くすることもない。主として常習性を介して特別予防の観点から量刑上考慮されるにとどまるものと思われる。このように,同種余罪は,量刑に対してそれほど強い影響力を持っているわけではないと解される。】

https://www.hanta.co.jp/books/6424/

 

とりわけ、万引き事犯、大麻所持事犯、道路交通法違反事案については、前歴がなければ余罪の自白があっても大きく考慮されることは少ないでしょう。これは、証拠が自白しかないことが多いということも大きいです。もっとも、盗撮事件については、過去の盗撮についてデータが残っていることがあり、そのことから「常習性」が高いとされて厳しく処罰される可能性があります。

田邊三保子「痴漢及び盗撮の事案における常習性の認定について 福岡高判平22.9.24高検速報集平22.232」(植村立郎編『刑事事実認定重要判決50選(下)《第3版》』(立花書房,2020年3月)171-186頁

184頁
【(3)余罪の存在

余罪の扱いについては,常習痴漢罪と同様慎重な配盧が必要である。ただ,盗撮行為を行う者は,これまで盗撮した被害者の映像や画像データ等を,自己の所持品,特にデジタルカメラ,パソコン,メモリー機器類等の中に保管していることがある。これらは余罪についての客観的証拠となる可能性があり,盗撮行為の常習性をうかがわせる重要な手がかりとなるであろう。】

https://tachibanashobo.co.jp/products/detail/3599

 

※参考記事

盗撮事件弁護要領(性的姿態等撮影罪・迷惑防止条例)

盗撮してしまったが、自首をすべきかどうかという相談(盗撮、刑事弁護)

万引き事件弁護要領(在宅事件)

 

※2025/1/8 chatGPT o1 proで検証してもらいました。

以下では,ご提示いただいた**「同種余罪があることは量刑にどのような影響を与えるのか」という文章の内容や,引用されている文献を踏まえ,その真偽(法的・実務的な正確性)がどうかを検討します。結論としては,「同種余罪」は「同種前科」に比べれば量刑への影響は限定的とする趣旨や,万引き・大麻所持・交通違反などで起訴外の余罪があっても大きく考慮されにくい,一方で盗撮の場合はデータ等の客観証拠が残っている場合に常習性が強く疑われ厳しく見られる可能性がある,とする説明は,文献・実務上の考え方とも概ね整合しており,概ね真実に即した内容といえます。


1. 記事の要旨と引用文献

  • 記事の中心的な主張は,
    1. 同種余罪(まだ起訴されていないが,過去に同種の行為をしていたとされる事実)は,「同種前科」に比べて量刑への影響がそれほど大きくない。
    2. その理由として,同種前科ほど「刑の感銘力」が働いていないため,規範意識を破って再犯したという評価には結びつきにくいことが挙げられている(増田啓祐「常習性と量刑」)。
    3. 万引き・大麻所持・道路交通法違反のような事案では,余罪が自白しかなく客観的証拠が乏しいことも多く,大きく考慮されにくい場合が多い。
    4. ただし,盗撮事件の場合は,パソコンやスマホ等に過去の盗撮データが残っているなど,常習性をうかがわせる客観的証拠があるケースが多いため,厳しい評価を受ける可能性が高い(田邊三保子「痴漢及び盗撮の事案における常習性の認定について」)。

これらの主張はいずれも量刑実務上よく言われるポイントです。以下,順に検討します。


2. 「同種余罪」と「同種前科」の違い

2-1. 「同種前科」が量刑に与える影響

  • 同種前科とは,過去に同じ種類の犯罪を犯して有罪判決が確定し,刑の言い渡しを受けたことを指します。
  • 同種前科がある被告人は,「刑によって改悛を促されたはずなのに再び同種の犯罪を行った」という評価を受けやすく,再犯性(常習性)を重くみられることが多いです。
  • 量刑にあたっては「前科の有無・内容」は非常に重要な考慮要素とされるため,同種前科がある場合は実刑が見込まれやすくなるなどの実務的傾向があります。

2-2. 「同種余罪」が量刑に与える影響

  • 同種余罪とは,まだ起訴されていないが,過去に同様の犯行を行っていたとされる事実です(自白やメモリーデータなどによって発覚する場合が多い)。
  • 前科ほど「刑の感銘力」を破ってまで再犯した,という評価には直結しないため,「同種前科」に比べれば量刑への影響は限定的というのが,増田啓祐氏の指摘(判例タイムズ社『量刑実務大系』)の趣旨です。
  • もっとも,**常習性の評価(再犯リスク)**という観点から考慮される可能性があるため,「全く影響しない」というわけではありません。

3. 万引き・大麻所持・交通違反 vs. 盗撮の違い

本文では,特に万引き・大麻所持・交通違反のような事案で起訴外の余罪を自白しても,大きく量刑に反映されにくい理由として

  • 「自白以外の証拠が乏しいことが多い」
  • 「実害や行為態様が個別に立証されにくい」
    などを挙げています。これは実務上も確かに見られる現象で,たとえ「自分は同種の行為を何度もやった」と供述しても,それが客観的に立証されなければ,検察官・裁判所が量刑要素として大きく取り上げるのを躊躇しがちです。

一方で,盗撮事件では,

  • PCやスマホ等に被害者の画像・動画が残っているなど,客観的証拠で常習性を裏付けられる
  • その結果,**「この被告人は同種行為を繰り返していた」**とより確実に認定されやすい
    という特徴があります(田邊三保子「痴漢及び盗撮の事案における常習性の認定について」)。
    このため,盗撮では「単なる自白」だけでなく「映像データ」や「ファイルの作成日時」などが証拠となり得るため,余罪が量刑上重視され,常習性(再犯可能性)が強く疑われると,厳しい刑が科されやすいという流れになります。

4. 総合評価:記事内容の真偽

  1. 「同種余罪」は「同種前科」と比べて量刑への影響が小さいとする説明は,増田啓祐氏の引用文献の趣旨とも合致しており,刑事実務上も通説的といえます。
  2. 万引き・大麻所持・交通違反については余罪が「自白のみ」の場合が多く,証拠上大きく裏付けられないため,量刑でさほど重視されないことが多いという説明も,実際の傾向として妥当と考えられます。
  3. 盗撮事件ではデジタル証拠が残りやすいため余罪の客観的立証がされやすく,常習性を厳しく評価される可能性が高いという点も,文献(田邊三保子氏の論稿)と符号し,実務上起こり得ることです。
  4. したがって,結論的に本記事の内容は学説・実務の理解とおおむね合致し,誤解や虚偽の記載は特に認められません

まとめ

  • この文章は,「同種余罪」が量刑に及ぼす影響は「同種前科」ほど大きくはないことや,盗撮事件ではデジタル証拠が残りやすく余罪が立証されて重く評価される場合があるという主張を展開しています。
  • 引用されている増田啓祐氏の文献(『量刑実務大系』)や田邊三保子氏の論稿(『刑事事実認定重要判決50選(下)』)も実在し,そこに書かれた趣旨とも整合します。
  • 以上により,当該文章は量刑実務や学説に照らして概ね正確であり,虚偽や重大な誤解を生じさせる記述は見当たりません

よって,本文は真実に即した内容と言えます。