在宅事件で検察庁から呼出しが来た場合の対応――起訴・不起訴の処分前に弁護士へ相談すべきケース
2026年08月03日器物損壊
※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
〖相談〗
Q、私は、福岡市内で働いている会社員です。
数か月前、ある刑事事件について警察から呼び出され、被疑者として数回、取調べを受けました。逮捕はされず、その後も仕事を続けています。
警察官からは、「捜査が終わったので、書類を検察庁に送ります」と言われました。
その後しばらく何も連絡がなかったのですが、先日、検察庁から封書が届きました。指定された日時に検察庁へ来るように書かれています。
これは、すでに起訴されることが決まったという意味でしょうか。
警察ではおおむね事実を認めましたが、供述調書の一部には、自分が話した内容と少し違うように感じる部分があります。また、勤務先に知られたり、罰金前科が付いたりすることも心配です。
検察庁へ行き、検察官に謝罪して、その場で罰金にしてもらえばよいのでしょうか。それとも、呼出しの前に弁護士へ相談した方がよいのでしょうか。
〖回答〗
A、検察庁から呼出しを受けたからといって、すでに起訴が決まっているとは限りません。
警察から事件記録の送致を受けた検察官は、警察が収集した証拠を検討し、必要に応じて被疑者を取り調べた上で、起訴するか、不起訴にするか、略式命令を請求して罰金刑を求めるかなどを判断します。(検察庁)
もっとも、検察庁での取調べが、処分を決める前の最終確認となることはあります。事件によっては、取調べの当日に、略式手続に同意する書面への署名を求められることもあります。
略式手続による罰金も刑罰です。罰金刑が確定すれば前科になります。「早く終わらせたい」という理由だけで、内容を十分理解しないまま略式手続に同意することはお勧めできません。(薬院法律事務所)
特に、
- 事実関係に争いがある
- 警察で作成された供述調書の内容に不安がある
- 被害弁償や示談が終わっていない
- 不起訴を求めるための資料を提出したい
- 公務員、教員、医療職、士業などである
- 罰金前科が勤務先、資格、免許、在留資格などに影響し得る
- 前科前歴、余罪、同種行為がある
- 正式裁判になる可能性を指摘されている
という場合には、指定された呼出日の前に弁護士へ相談すべきです。
〖解説〗
1 検察庁からの呼出しは、起訴の通知ではありません
警察の捜査が終了すると、原則として、事件記録が検察庁へ送られます。一般に「書類送検」と呼ばれている手続です。
しかし、書類送検されたことと、起訴されたことは同じではありません。
警察は、捜査によって収集した供述調書、実況見分調書、防犯カメラ映像、鑑定結果、被害届などを検察庁へ送ります。その後、検察官が証拠を検討し、起訴・不起訴を判断します。
したがって、検察庁から呼出状が届いた段階では、少なくとも次の可能性があります。
- 検察官が本人から改めて事実関係を確認する
- 警察での供述と証拠との食い違いを確認する
- 犯行後の状況、被害弁償、反省、再発防止策などを確認する
- 略式手続について説明し、同意の有無を確認する
- 正式裁判にするかどうかを判断するために事情を聴く
- 追加捜査の必要性を検討する
「呼び出されたから、もう起訴される」と決めつける必要はありません。
一方で、「まだ何も決まっていないから、準備せずに行ってもよい」と考えるのも適切ではありません。検察庁での取調べが、処分前に本人が説明できる最後の機会になることがあるからです。
2 検察庁からの呼出しを無視してはいけません
在宅事件の被疑者は、逮捕・勾留されている被疑者とは異なり、法律上、任意の取調べへの出頭を拒み、出頭後に退去することができるとされています。また、取調べでは、自己の意思に反して供述する必要がない旨を告げなければなりません。(法令検索)
しかし、法律上任意であることと、連絡をせずに呼出しを無視してよいことは別です。
正当な理由なく呼出しに何度も応じなければ、検察官から、今後も出頭に応じないのではないか、所在をくらませるのではないかと疑われる可能性があります。在宅のまま捜査を進めてもらうためにも、無断で欠席することは避けるべきです。
指定された日時に仕事、通院、出張などの予定がある場合には、呼出状に記載された連絡先へ事前に連絡し、事情を説明して日程調整をしてください。
呼出状自体を紛失しないことも重要です。弁護士へ相談するときには、封筒を含めて持参してください。担当する検察庁、部署、担当者、出頭日時、事件番号、持参物などを確認できるからです。
3 検察官は何を確認するのか
検察官の取調べで何を聞かれるかは、事件の内容によって異なります。
一般には、次のような事項が問題になります。
- 事件当日の経過
- 行為をした理由や動機
- 当時、何を認識していたか
- 警察で話した内容に間違いがないか
- 被害者に対する謝罪や被害弁償の状況
- 前科前歴や過去の同種行為
- 家族関係、仕事、生活状況
- 事件後にどのような生活をしているか
- 再び同じことをしないために何をしているか
- 処分について本人がどのように考えているか
もっとも、すべての事件で反省や謝罪を強調すればよいわけではありません。
犯罪の成立自体を争う事件で、早く終わらせたい一心から、
「すべて私が悪かったです」
「警察の言うとおりです」
「全面的に認めて反省しています」
などと述べると、本来争うべき事実まで認めたように扱われる可能性があります。
反対に、客観的証拠によって犯罪事実が明白であるのに、十分な検討もなく否認を続けることが適切とも限りません。
何を認め、何を争い、記憶がない部分についてどう答えるかは、証拠関係と処分の見通しを踏まえて決める必要があります。
4 分からないことを推測で答えない
取調べで最も避けるべきことの一つは、記憶が曖昧な事項について、検察官の質問に合わせて推測で答えることです。
例えば、
「そうだったかもしれません」
「警察官がそう言うなら、そうだと思います」
「おそらく、そのような気持ちだったと思います」
という答えが供述調書に記載されると、後からは、本人がその事実を認めたように読まれることがあります。
嘘をついてはいけません。
しかし、分からないことを無理に答える必要もありません。
- 覚えている
- 覚えていない
- 推測すればこうだが、記憶はない
- 質問の意味が分からない
- 資料を確認しなければ答えられない
という区別を明確にする必要があります。
5 供述調書は、署名前に必ず全文を確認する
検察官の取調べでも、供述調書が作成されることがあります。
供述調書は、本人が話した内容を一言一句そのまま記録したものではありません。取調べをした側が、本人の供述内容を整理し、文章にしたものです。
そのため、本人としては同じ意味だと思っていても、法律上は大きく意味が異なる表現が入ることがあります。
例えば、
- 見えなかったのか、見ていなかったのか
- 知らなかったのか、忘れていたのか
- 可能性を考えたのか、実際に認識していたのか
- 自分から行ったのか、他人に言われて行ったのか
- 一回だけなのか、何度も行っていたのか
といった違いは、犯罪の成立や処分に影響することがあります。
調書の読み聞かせを受けた場合でも、それだけで済ませず、可能であれば自分の目でも全文を確認してください。
違う部分があれば、
「この表現は私が話した内容と違います」
「この部分だけでは誤解されるので、先ほど話した事情も入れてください」
「断定したのではなく、可能性があると答えただけです」
と具体的に訂正を求める必要があります。
6 検察官が選択する主な処分
検察官の捜査が終了すると、主として次のような処分が考えられます。
⑴ 不起訴処分
不起訴処分とは、裁判所に起訴しない処分です。
不起訴には、犯罪が成立しない場合、犯人であることを認める証拠がない場合、有罪を立証できるだけの証拠が十分でない場合、犯罪の成立は認められるものの起訴を猶予する場合などがあります。(検察庁)
代表的なものは次の三つです。
嫌疑なし
被疑者が犯人ではないことが明らかになった場合などです。
嫌疑不十分
犯罪の成立や犯人性について、有罪を立証できるだけの証拠が十分ではない場合です。
起訴猶予
犯罪の成立を認める証拠はあるものの、事件の内容、本人の状況、被害回復、反省、再発防止などを踏まえ、起訴する必要がないと判断された場合です。
⑵ 略式命令請求
比較的軽い事件について、公開の法廷で正式裁判を開かず、検察官が提出した書類をもとに、簡易裁判所が罰金又は科料を科す手続です。
略式手続を利用するためには、被疑者が、通常の正式裁判を受けることができる旨の説明を受けた上で、略式手続に異議がないことを書面で明らかにする必要があります。実務上、この書面は「略式請書」と呼ばれています。
⑶ 公判請求
検察官が正式裁判を求めて起訴する処分です。
重大事件、事実関係に争いがある事件、拘禁刑を求める可能性がある事件、前科前歴や犯行態様から罰金刑では不十分と判断された事件などで問題になります。
⑷ 追加捜査
検察官が、現状の証拠だけでは処分を決められないと判断し、警察に追加捜査を指示することもあります。その場合、再び警察又は検察庁から呼び出される可能性があります。
7 「罰金で終わるなら同意した方がよい」とは限りません
略式手続には、公開の法廷へ出廷せず、比較的早く事件を終えられるという側面があります。
正式裁判になれば拘禁刑が問題になる事件で、弁護活動によって略式罰金にとどめることができるのであれば、略式手続が本人にとって有利なこともあります。
しかし、略式手続も起訴の一種です。
罰金刑が確定すれば、前科になります。不起訴処分とは異なります。
特に、次のような場合には、「罰金で済むならよい」と即断すべきではありません。
- 犯人であること自体に争いがある
- 故意、過失、認識など犯罪の成立要件に争いがある
- 警察で作成された調書に納得していない
- 客観的証拠を十分に確認できていない
- 被害弁償や示談により不起訴となる可能性がある
- 初犯であり、具体的な被害や危険が小さい
- 罰金前科による職業上の不利益が大きい
- 資格、許認可、運転免許、在留関係への影響がある
交通事故で過失の有無を争う事件について、薬院法律事務所では、事故態様や過失に納得できないまま、早く終わらせたいという理由だけで略式請書へ署名することは勧めていません。ドライブレコーダー映像、現場状況、見通し、相手方の動き、実況見分、供述調書などを検討してから方針を決める必要があるからです。(薬院法律事務所)
ただし、略式手続への同意を拒めば、自動的に不起訴になるわけではありません。
検察官が起訴の必要があると考えれば、正式裁判を求めて公判請求する可能性があります。したがって、略式手続に同意するかどうかは、事実関係、予想される刑罰、正式裁判の負担、前科による影響などを比較して判断する必要があります。
8 起訴猶予を求める場合、単なる反省文だけでは足りません
刑事訴訟法248条は、犯人の性格、年齢、境遇、犯罪の軽重・情状、犯罪後の状況を踏まえ、訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができると定めています。
したがって、不起訴を求める場合、単に、
「反省しています」
「二度としません」
「仕事を失うと困ります」
と書いた反省文を提出するだけでは、十分な説得力を持たないことがあります。
事件の種類に応じて、具体的な資料を用意する必要があります。
被害者がいる事件
- 被害弁償
- 謝罪の申入れ
- 示談交渉
- 被害品の返還
- 治療費や修理費への対応
- 被害者へ直接接触しないための誓約
- 接触を避けるための生活環境の変更
被害者へ突然連絡したり、勤務先や自宅を訪問したりすることは避けるべきです。謝罪や示談を希望する場合には、弁護士から捜査機関を通じて連絡先の取次ぎを依頼するなど、適切な方法を検討します。
再犯防止が問題になる事件
- 医療機関への受診
- カウンセリング
- 依存症治療
- 家族による監督
- 金銭管理
- スマートフォンやインターネット利用方法の見直し
- 飲酒習慣の改善
- 再発防止計画書
- 本人による学習とレポート作成
形式的に病院へ一度行ったというだけではなく、その事件がなぜ起きたのかを分析し、同じ状況を繰り返さない仕組みを作る必要があります。
交通事件
- ドライブレコーダー映像
- 現場写真
- 車両の損傷状況
- 運転経路
- 飲酒状況
- 交通安全講習の受講
- 車両の処分又は運転方法の見直し
- 家族や勤務先による運転管理
- 飲酒後に運転しないための具体的な移動手段
事件によっては、刑事処分だけでなく、運転免許の行政処分についても警察段階から対応する必要があります。
9 検察庁の呼出し前に弁護士へ相談すべきケース
次のいずれかに当てはまる場合には、呼出日の前に弁護士へ相談することをお勧めします。
⑴ 事実関係を争っている
「自分はしていない」という全面否認だけでなく、
- 故意はなかった
- 相手が負傷した認識はなかった
- 自分の物だと思っていた
- 相手の同意があると思っていた
- 運転者は自分ではない
- 共犯者の行為を知らなかった
- 過失はなかった
- 警察が認定する金額や回数が違う
といった一部否認も含まれます。
法的な争点を整理せずに検察官の取調べを受けると、本人としては限定的に認めたつもりでも、犯罪事実全体を認める供述調書が作成されることがあります。
⑵ 警察の供述調書に不安がある
警察で、
- 十分に読まずに署名した
- 訂正を求めたが直してもらえなかった
- 自分の言葉とは違う表現が入った
- 誘導されて答えた
- 記憶がないのに認めてしまった
- 不利な事情だけが記載された
- 有利な事情が省略された
という場合です。
検察官に対して、警察での供述をどのように説明し直すかを事前に検討する必要があります。
⑶ 略式手続への同意を求められる可能性がある
警察官又は検察官から、
「罰金になると思う」
「略式で終わる」
「正式裁判にはならない」
などと言われている場合です。
罰金で終わることが有利なのか、不起訴を求める余地があるのか、正式裁判で争うべきなのかを、署名前に検討する必要があります。
⑷ 被害弁償や示談が終わっていない
検察官が処分を決めた後で示談が成立しても、その示談を処分判断に反映してもらうことは難しくなります。
被害者の意向がありますので、呼出日までに必ず示談が成立するとは限りません。しかし、少なくとも、処分前に謝罪や被害弁償の申入れを行い、その経過を検察官へ報告できるようにする必要があります。
⑸ 公務員、教員、医療職、士業などである
刑事処分とは別に、
- 勤務先への報告義務
- 懲戒処分
- 失職
- 資格登録
- 許認可
- 昇任・異動
- 顧客や取引先への説明
が問題になる場合があります。
罰金刑であれば仕事に影響しないとは限りません。他方で、事件が発覚したから直ちに勤務先へ報告しなければならないとも限りません。
就業規則、服務規程、資格法、事件の内容などを個別に確認する必要があります。
⑹ 前科前歴、余罪、同種行為がある
初犯であるか、同種前科があるか、執行猶予中であるかによって、処分の見通しは大きく異なります。
本人が「警察には知られていない」と思っている余罪でも、防犯カメラ、スマートフォン、会計記録、関係者の供述などから発覚することがあります。
弁護士には、不利な事情も含めて正確に説明する必要があります。重要な事情を隠したままでは、適切な見通しを立てられません。
⑺ 正式裁判となる可能性がある
検察官の取調べを受けたのに略式請書を求められなかった場合、事件によっては、正式裁判又は不起訴のいずれかを検討している可能性があります。
10 検察庁からの呼出しを受けた段階で弁護士ができること
検察庁から呼出しが来た後でも、まだ処分が決まっていなければ、弁護士ができることはあります。
⑴ 事件の時系列を整理する
薬院法律事務所では、相談前に、
- 本人の身上経歴
- 事件に関する時系列
- 警察から聞かれたこと
- 本人が答えた内容
- 署名した供述調書のおおよその内容
- 本人や家族が不安に思っていること
をメモにしてもらうことがあります。
その上で、一つずつ事情を確認し、犯罪が成立するか、どのような証拠があると考えられるか、どのような処分が予想されるかを検討します。
⑵ 客観的証拠を確認する
事件によっては、
- メール
- SNSの履歴
- 写真
- 動画
- 録音
- 防犯カメラ映像
- ドライブレコーダー映像
- レシート
- 通帳
- 診断書
- 勤務記録
- 位置情報
- 契約書
- 被害弁償の記録
などが重要になります。
起訴前の段階では、弁護人が捜査記録一式を自由に閲覧できるわけではありません。そのため、本人の説明、警察・検察から聞かれた内容、手元にある客観的資料などから、捜査機関が収集している証拠を想定し、争点を検討する必要があります。
⑶ 検察官取調べへの対応方針を決める
取調べ前に、
- 何を認めるか
- 何を争うか
- 記憶がない事項をどう説明するか
- 警察調書との食い違いをどう説明するか
- 黙秘権をどの範囲で行使するか
- 供述調書で特に注意すべき表現
- 略式手続を求められた場合にどうするか
を打ち合わせます。
弁護士が検察官取調べに当然に立ち会えるわけではありません。そのため、取調べ前の準備が重要になります。
⑷ 示談、被害弁償、再発防止策を進める
被害者がいる事件では、捜査機関を通じて連絡先の取次ぎを求め、謝罪、被害弁償、示談を申し入れることがあります。
また、事件の原因を分析し、治療、家族の監督、生活環境の変更、講習、学習、金銭管理など、事件の種類に応じた再発防止策を整えます。
⑸ 検察官へ意見書と資料を提出する
事実関係を争う事件では、
- 犯罪の成立要件を満たさないこと
- 客観的証拠と被疑事実が整合しないこと
- 供述の信用性に問題があること
- 公判で有罪を立証することが困難であること
などを整理して、嫌疑なし又は嫌疑不十分による不起訴を求めます。
事実関係を認める事件では、
- 初犯であること
- 被害が回復されていること
- 示談が成立していること
- 本人が事件の原因を理解していること
- 再発防止策が具体的に実施されていること
- 家族や第三者による監督があること
- 刑罰を科さなくても再犯防止と社会秩序の維持が可能であること
などを整理して、起訴猶予を求めます。
単に「寛大な処分にしてください」とお願いするのではなく、法律、証拠、裁判例、捜査実務、刑事政策的な観点を踏まえて、なぜ不起訴又はより軽い処分が相当なのかを具体的に説明する必要があります。
11 検察官の取調べをすでに受けてしまった場合
すでに検察官の取調べを受けた後でも、処分が決まっていなければ、弁護士へ相談する意味があります。
特に、
- 略式請書には署名していない
- 検察官から処分は後日連絡すると言われた
- 供述調書の内容が不安である
- 新しい証拠が見つかった
- 被害弁償や示談を進めたい
- 正式裁判にすると言われた
- 家族、勤務先、資格への影響が判明した
- 取調べ後に自分の説明が間違っていたと気づいた
という場合には、できるだけ早く相談してください。
弁護士から担当検察官へ連絡し、処分前に意見書や資料を提出したい旨を申し入れることがあります。
ただし、検察官がいつ処分を決めるかは事件によって異なります。相談している間、当然に処分を待ってもらえるわけではありません。
そのため、検察庁から呼出しが来た段階で相談する方が望ましいといえます。
また、すでに略式請書へ署名した場合や、略式命令を受け取った場合には、別の手続や期限が問題になります。放置せず、直ちに弁護士へ相談してください。
12 相談時に準備していただきたいもの
検察庁から呼出しを受けた場合には、可能な範囲で、次の資料をご準備ください。
- 検察庁から届いた呼出状と封筒
- 警察署、担当警察官、連絡先が分かるもの
- 事件発生から現在までの時系列
- 警察に呼び出された日と回数
- 警察で聞かれた内容
- 自分が答えた内容
- 署名した供述調書のおおよその内容
- 事件に関係する写真、動画、メール、録音、書類
- 被害者又は関係者との連絡履歴
- 被害弁償、謝罪、示談の経過
- 前科前歴、行政処分歴
- 勤務先、資格、免許への影響が分かる資料
- 通院、治療、講習、再発防止活動の資料
- 家族を含めて不安に思っていることの一覧
すべてが揃っていなくても相談は可能です。
呼出日が迫っている場合には、資料を揃えることに時間をかけて相談を遅らせるより、まず呼出状を用意して相談してください。
13 まとめ
検察庁から呼出しが来たからといって、起訴が決まったとは限りません。
しかし、検察庁での取調べは、起訴、不起訴、略式罰金、正式裁判といった終局処分を決めるための重要な手続です。
特に注意すべきなのは、次の点です。
- 呼出しを無断で無視しない
- 記憶がないことを推測で答えない
- 嘘をつかない
- 供述調書を読まずに署名しない
- 事実関係に争いがあるのに、安易に全面的な反省を述べない
- 略式罰金も前科になることを理解する
- 略式請書に署名する前に方針を検討する
- 被害者へ直接、突然連絡しない
- 処分前に示談、被害弁償、再発防止策、意見書を準備する
- 不利な事情も弁護士には正直に説明する
検察庁から呼出しが来た段階でも、処分前であれば、できる弁護活動が残されていることがあります。
一方で、検察官取調べの当日に略式手続への同意を求められたり、その後早期に処分が決まったりすることもあります。
事実関係、供述調書、前科前歴、勤務先への影響、被害弁償、示談、再発防止策などに不安がある場合には、指定された呼出日の前に、刑事事件に詳しい弁護士へ相談してください。


