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薬院法律事務所

刑事弁護

少年が犯罪を行った場合、警察や家庭裁判所は学校に通報するのか


2021年09月13日読書メモ

これは一概に言えません。

犯人として立件された場合、連絡されることもあれば、されないこともあります。地域によっては全件通報のようなところもあるようです。

もしかしたら地域によっては学校間で協定があるかもしれません。法律で決まっているわけではないのでわからないのです。

家庭裁判所からも話がいくこともあれば、いかないこともあります。

補導についてはこんな文献がありました。

少年実務研究会編『少年事件捜査等一件書類作成の手引き〔第四版〕』(立花書房,2011年7月※2019年10月増刷分)37頁

【(2) 学校連絡

ア少年の在学する学校の教師に対する連絡の必要性の判断は、おおむね次の基準によること。

(ア) 問題化の原因が主として学校にあると認められる場合

W) 学校内に不良グループがあり、又はその少年の悪影響が在校生に及ぶと認められる場合

(ウ) その他、児童、生徒の指導上連絡の必要があると認められる場合

イ学校連絡に当たっては、次の点に留意する。

(ア) 学校連絡は、その学校の地域を管轄する警察署の少年係を通じて行うようにすること。

(イ) 連絡は、生徒指導主任に行うのを原則とし、 これが不在の場合は担任教師に行い、他の教師生徒等に知られることのないよう秘密の保持に配盧して行うこと。

(ウ) 連絡に当たっては、教師の立場を考盧し、昼休み又は休憩時間等に行うようにし、授業に差し支えないように留意すること。

(エ) 少年の指導上の意見を述べることは差し支えないが、学校の管理権に介入することがあってはならないので、言動には十分注意すること。

㈱学校側の意向を尊重するとともに、警察の行う補導について、学校側の理解と協力を得るように努めること。

(力) 少年の出欠状況、学業成績、交友関係、生活態度及びその性格等を把握し、補導の資料とするとともに、その少年を取り巻く非行グループ等の発見に努めること。】

裁判所職員総合研修所監修『少年法実務講義案(再訂補訂版)』(司法協会,2012年9月)153頁

【1 社会調査の方法

社会調査の方法には,①事件記録や少年調査記録に基づく記録調査,②本籍照会,学校照会,保護者照会,被害者等に対する照会などの照会調査,③少年,保護者,被害者等への面接調査,④少年の行動観察,家庭,学校,地域環境等の観察調査,⑤心理学的,医学的検査などがある。最も一般的に行われているのは,記録調査,照会調査及び面接調査であり,特に,面接調査が中心的な方法といえよう。】

 

なお、学生を逮捕状で逮捕する場合は、学校にも照会しているようです。以下の本は神奈川県での扱いなのでほかの地域でもあてはまるかわかりませんが。

★少年事件研究会編『6訂版(補訂)執務資料 少年事件の捜査』(東京法令出版,2020年5月)61頁

【③被疑者の逮捕を必要とする理由

これは刑訴規則143条の3の規定とにらみ合わせて判断するほかない。できる限り具体的に記載することが望ましい。実際には,捜査における初期の段階に, しかも限られた資料に基づく判断であるから困難である。しかし,少なくとも裁判官が容易に逮捕の必要性を認識できる程度に記載すべきである。

(略)

境遇…・・・被疑者の社会的地位,性格,経歴交友関係家庭の状況,性別,心身の障害の有無犯歴非行歴,補導歴保護者の有無,住居関係,犯行後の行動,保護者の子に対する監護状況及び意見,学校の就学状況,学校長等学校関係者の意見等から逮捕の必要性を疎明する必要がある。】