性的姿態等撮影罪で、被害届取下げにより不送致処分を狙えないかという相談(盗撮、刑事弁護)
2024年11月02日刑事弁護
※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
【相談】
Q、私は、福岡市に住む50代の会社員男性です。実は、一昨日駅のエスカレーターで盗撮をしてしまい、警察に連れていかれました。罪を認めているのですが、私は福岡地検の検事正の人と同級生で、友人です。もし、私の事件が送検されて彼の目に触れたらと思うと耐えられません。何とか警察限りで終わらせられないでしょうか。
A、迷惑行為防止条例違反の場合は、実際にやった事案では送検されて、初犯なら不起訴という流れが一般的でした。しかし、性的姿態等撮影罪になってから、被害届が取り下げられた場合に「不送致」とされる運用があっているようです。送検を阻止できる可能性はあります。
【解説】
季刊刑事弁護に興味深い記事がありました。性的姿態等撮影罪の在宅事件で、示談した後に警察が送検をしなかった、という事例です。私の取り扱い経験からすると、盗撮が迷惑行為防止条例違反で取り締まりされていた時代は、被害届が出される前に示談をして「立件」せずに終わるということはありましたが、捜査が進んだ後は示談をしても送検されていました。性的姿態等撮影罪では、保護されるのが被写体となった人の「個人法益」であることが明確に定められたので(迷惑行為防止条例違反は「公共の利益」を保護するものとされていました)、それだけ「被害者の意思」が重視される取り扱いになったのかもしれません。
私自身の取り扱い事例ではないのですが、福岡県においても、被害届取下げにより「不送致」で終結したという事例を聞いています。狙えるのであれば積極的に狙うべきでしょう。
性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律
https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC0000000067
(性的姿態等撮影)
第二条 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ人の性的な部位(性器若しくは肛こう門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
ロイに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十七条第一項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
【参考文献】