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薬院法律事務所

刑事弁護

無免許運転過失運転致傷罪について、執行猶予付き判決を避けたいという相談(交通事故)


2026年01月08日刑事弁護

※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

 

【相談】

Q、私は、公務員ですが、先日、交通事故を起こしてしまいました。お相手の怪我は軽微なむち打ちだったのですが、困ったことに私は免許更新を忘れていて無免許でした。無免許運転過失致傷罪ということで取り調べを受けているのですが、起訴されたら確実に失職することになります。何とかならないでしょうか。前科・前歴はありません。

A、捜査段階から弁護士に依頼すべきです。「無免許」の故意がない場合(うっかり失効)、「過失」がない場合、「傷害」がない場合には無免許運転過失運転致傷罪は成立しません。仮に、「無免許運転」の事実が認められず、過失運転致傷罪のみで起訴されることになれば、法定刑が7年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金なので、略式起訴や不起訴処分が考えられます。また、「傷害」の事実が認められず、無免許運転罪のみで起訴されることになれば、法定刑が3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金なので、罰金刑での略式起訴という可能性が見えてきます。

 

【解説】

以前、無免許運転過失運転致傷罪で捜査されている方からご依頼を受けて弁護活動をしたことがあります。

詳しい弁護活動の内容については省略しますが、お相手の方は任意保険で治療を受けられていましたが、傷害結果の証拠関係を踏まえた弁護活動を実行したことで、結果として無免許運転罪のみで起訴されました。他の弁護士からは無免許運転過失運転致傷罪で起訴されることは回避できないということでしたが、細かく事件を分析していった場合には、回避できる可能性もあります。但し、刑事事件の結果が罰金刑であっても免職される可能性はありますので、そこは注意が必要です。

 

※自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律

(過失運転致死傷)
第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
(無免許運転による加重)
第六条
4 前条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、十年以下の拘禁刑に処する。

https://laws.e-gov.go.jp/law/425AC0000000086

 

【参考文献】

中村芳生「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」大塚仁ほか編『大コンメンタール刑法 第三版 第10巻〔第193条~第208条の2〕』(青林書院,2021年3月)590頁

【X11 無免許運転による加重(6 条)
90 本法6条の無免許運転による加重の規定は, 2条から5条までの罪を犯したときに無免許運転をしていた場合には,被疑者が実際に進行を制御する能力や技能があったかどうかを問わず,また,無免許であることと被害者の死傷との間の因果関係の有無にかかわらず適用される。
91 自動車の運転のために運転免許を取得しなければならないのは最も基本的なルールであり,無免許運転はこれを無視する規範意識を欠いたものである上,適性・技能・知識についての試験や講習を受ける機会もなく危険な運転であることから, 6条が新設され重罰化された.免許を取得したことが全くない者とともに,免許を失効した後にそれを認識しながら自動車を運転した場合も本罪に当たる。ただ,免許を失効させたことについて認識がなくまだ免許を持っていると思っていた場合には, 6条の故意は認められない他方,危険運転致傷罪の対象とはされていないが,これは,全ての無免許運転が暴行と同じ程度に危険とまではいえず,無免許が原因で交通事故の結果が起こったとまでは必ずしもいえないためである。】

https://www.seirin.co.jp/book/01807.html

 

交通犯罪弁護要領(救護義務・報告義務違反の例)