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薬院法律事務所

刑事弁護

無免許運転(種別外無免許)・酒気帯び運転で早期の弁護士介入が重要な理由(行政処分回避)


2025年04月01日刑事弁護

ChatGPTに元原稿を作成してもらった上で、加筆訂正と文献の引用を加えています。

 

無免許運転・酒気帯び運転の免許取消を避けるために – 事故後すぐ弁護士に依頼する重要性

 

事故後、「免許が取り消されてしまうのではないか?」と不安に感じている方へ。無免許運転(種別外無免許)や酒気帯び運転で事故を起こした場合、法律上は**運転免許の取消処分(いわゆる免許取消)**という非常に重い行政処分が科される可能性があります。近年、飲酒運転に関する罰則は一段と強化され、違反点数の大幅引き上げや免許再取得不可期間(欠格期間)の最長10年延長といった措置が取られました。無免許運転についても平成25年の法改正で違反点数が引き上げられるなど、厳正な対処の傾向が続いています。こうした背景から、無免許運転や酒気帯び運転をした場合には、初回であっても免許取消処分が避けられない状況になっているのが現状です。

それでも、「どうにか免許取消だけは避けたい」「取消を軽くできないか」と願うのが人情でしょう。本記事では、その望みを少しでも現実に近づけるためのポイントとして、事故後直ちに弁護士に依頼し、違反等の登録前に警察と交渉することの戦略的意義について解説します。行政処分の流れや具体的な裁判例にも触れながら、早期対応の重要性をわかりやすくお伝えします。

 

無免許運転(種別外無免許)・酒気帯び運転で科される免許取消処分の厳しさ

 

まず、無免許運転(種別外無免許)や酒気帯び運転をした場合にどれほど厳しい処分が待っているかを確認しましょう。免許取消処分とは、その名のとおり現在持っている運転免許を取り消されてしまう処分であり、一定期間(欠格期間)経過しなければ新たに免許を取得できなくなるものです。違反歴がない初犯の場合でも、重大な違反であれば長期の欠格期間が課されます。

例えば、無免許運転をしてしまった場合、その違反には基礎点数25点が付されます。日本の運転免許行政では、過去3年以内の累積違反点数が一定点数を超えると免許取消となります。初回の取消基準点は通常累積15点以上ですから、無免許運転一回(25点)で一発で取消基準に達してしまう計算です。酒気帯び運転(一定の酒気帯び状態での運転)についても同様に基礎点数が高く設定されており、事故を起こした場合などは加点もあって最初の違反でも免許取消につながりかねない重いペナルティとなっています。平成21年施行の改正道路交通法では飲酒運転の点数引き上げと欠格期間延長(最長10年)という厳罰化が行われ、無免許運転も平成25年の改正で点数引き上げの対象となりました。このように、悪質・危険な運転行為への社会の厳しい目を受け、免許取消処分は年々厳しさを増しているのです。

免許取消処分を受けると、その場で運転免許証を取り上げられ(もしくは後日返納を求められ)、以後は欠格期間が明けるまで運転することができません。欠格期間は違反の内容や前歴(過去の行政処分歴)によって異なりますが、酒気帯び運転・無免許運転の場合は最低でも1~2年、場合によっては数年から最大で10年に及ぶこともあります。自動車を仕事や生活の足としている方にとって、数年間運転できないという制裁は、収入や生活基盤に深刻な影響を及ぼしかねません。

以上のように、無免許運転(種別外無免許)や酒気帯び運転で事故を起こした場合には、免許取消+長期間の欠格期間という非常に重い処分がほぼ避けられない状況にあります。では、その流れは具体的にどう進むのでしょうか。そして、それに対抗する術はあるのでしょうか。

 

行政処分の流れ:違反等登録から取消処分まで

 

無免許運転(種別外無免許)や酒気帯び運転に対する免許取消処分は、「刑事罰」とは別に科される行政処分です。これは主に道路交通法の定める点数制度に基づいて行われます。交通違反や事故が起きると、まず警察がその違反事実を確認し記録します。次に、その違反情報が運転免許の点数管理システムに登録され(これを違反等登録といいます)、累積点数の計算に反映されます。累積点が取消基準に達していれば、公安委員会(各都道府県の行政処分担当部署)は免許取消処分に向けた手続きに入ります。

違反等登録とは、警察が交通違反や事故を認知した際に必要な書類を作成し、速やかに運転免許主管部署へ送付・登録する一連の手続です (道路交通研究会「交通警察の基礎知識196 行政処分の迅速かつ確実な執行について」月刊交通2019年2月号(611号)82-86頁)。警察庁では、違反を認知したら第一に違反等登録を迅速かつ確実に行うことが重要であるとしています。実際、警察署では違反事実を把握した段階で担当警察官が関係書類を作成し、行政処分担当課へ送付します。行政処分担当課(公安委員会事務局)はそれら書類を審査の上、速やかに違反等登録を行います。

違反等登録がなされると、やがて運転者(違反者)に対し**「意見の聴取」**の期日通知が届きます。これは免許取消等の行政処分を下す前に、本人に弁解や意見を述べる機会を与える手続きです(いわゆる行政手続法上の聴聞に相当します)。指定された期日に出頭すると、担当者の前で事情を説明したり、処分に対する意見を述べたりすることができます。もっとも、無免許運転・酒気帯び運転といった重大な違反の場合、累積点数が取消基準を超えている事実自体は明白ですから、特段の事情がない限り最終的には免許取消処分が決定されてしまうのが通常です。

重要なのは、行政処分は刑事処分(裁判)の結果を待たずに進行するという点です。たとえ刑事事件としてはこれから捜査・裁判という段階でも、行政庁(公安委員会)は独自に違反事実を認定して免許取消処分を進めることができます。実際、東京高等裁判所の判示によれば、「道路交通法違反の罪が成立することは運転免許取消処分の要件ではなく、客観的に同法に違反する事実があれば、同処分を行うことができる」とされています。言い換えれば、刑事上有罪か否かに関わらず、違反行為があったという客観的事実さえ認められれば免許取消処分は可能なのです。

この方針は行政実務にも表れており、警察庁は「事実認定を適正かつ十分に行うことができるときは、刑事処分の結果を待つことなく、意見の聴取等の必要な手続きを行い、取消し等の処分決定を早期に行うこと」が重要であるとしています。つまり、警察・行政側はできるだけ早く違反事実を確定し、速やかに免許取消処分まで執行しようとする傾向にあるのです。行政処分の遅れは、新たな違反を招くリスクや対象者にとっても不利益となり得るため、迅速な処分執行が望ましいとされます。

以上をまとめると、無免許運転や酒気帯び運転で事故を起こすと、警察による違反記録の登録から行政処分(免許取消)の決定・執行まで、思った以上に短期間で進むことがあります。通知された聴取期日に出頭しなかったりして処分を先延ばしにしようとしても、いずれ所在が判明した段階で速やかに処分が執行される仕組みが整えられており、問題の根本解決にはなりません。むしろ、何も対策をしないままでは粛々と処分手続が進められてしまい、後から異議を唱えても覆すことは極めて困難です。

では、こうした行政処分の流れに対し、「免許取消処分を避ける」「少しでも軽くする」余地はどこにあるのでしょうか。そのカギとなるのが、違反等登録がなされ行政処分が確定してしまう前に、適切な働きかけを行うことです。

 

違反等登録前に弁護士が介入することの戦略的意義

 

免許取消処分を避けたいと考えるのであれば、タイミングとの勝負になります。前述のように、警察は違反を把握すると早々に書類を作成して違反等登録の手続きを進めます。この**「違反等登録」**がされてしまう前、すなわち事故後できるだけ早い段階で弁護士に相談・依頼し、専門家として警察や行政庁に働きかけることが極めて重要です。弁護士を早期に介入させることで得られる主なメリットをいくつか挙げます。

  • 事実関係の精査と証拠確保による違反成立の争い: 弁護士は依頼を受けると、まず事故や違反の事実関係を綿密に調査します。例えば酒気帯び運転であれば、飲酒検知の手順や機器の精度に問題がなかったか、採血による再検査の余地はないか等、専門知識を駆使して証拠の適否を吟味します。無免許運転の場合でも、「本当に無免許と言えるのか」を確認します。ときには「有効な国際運転免許証を持っていたが手続不備で日本の免許とみなされなかった」といった特殊な事情や、後述する裁判例のように本人に違反の故意・認識がなかった可能性など、見過ごされている事情がないかを洗い出します。こうした事実関係の精査により、違反そのものを否定したり、警察の認識に疑問を提示したりすることが可能となります
  • 警察との交渉による違反等登録の見送り・保留: 弁護士が事実関係に争いがあることや有利な証拠を把握したら、次に警察への働きかけを行います。警察も明らかな誤認に基づいて処分を進めてしまうことは望んでいません。実務上、違反事実の不存在や事実誤認があるときは違反等の登録が延期される場合があります。そこで弁護士は、集めた証拠や事情をもとに「今回の件は事実関係に疑いがある」「ただちに違反登録すべきでない事案である」ことを丁寧に主張します。例えば「無免許運転ではない可能性」を示す証拠(運転していた車両の種類に関する誤解や、運転資格に関する特例の存在など)や、「酒気帯びの測定値に誤差があり正確とは言えない」という具体的な疑義を提示できれば、警察としてもすぐに違反登録・処分執行に踏み切るのは躊躇われます。警察官が作成する違反報告書には事実関係や違反の裏付けが記載されますが、そこで**「証拠不十分」**と判断されれば、行政処分手続きはひとまず保留となる可能性があります。弁護士は依頼者の代理人として、口頭または書面で警察に対しこうした主張を行い、違反等登録の見送りや先延ばしを交渉します。
  • 処分の軽減事由の主張によるダメージコントロール: 仮に違反事実自体は明白で、違反等登録が避けられなかったとしても、まだ諦める必要はありません。弁護士は次の手段として、処分量定の軽減を図るべく動きます。行政処分には一定の裁量の幅があり、違反に至った経緯や違反者の情状に鑑みて、処分を減軽することが可能とされています。実際の運用でも、運転者としての危険性が特段に低いと評価できる事情がある場合には、処分(特に欠格期間)の短縮が検討されます。弁護士は違反者に有利な事情――例えば「違反に至ったのはやむを得ない緊急避難的状況だった」「本人が深く反省して再教育を自主的に受けている」「違反当時、警察官の指示に従った結果の行為だった」(後述の裁判例のように)等――を洗い出し、証拠を揃えた上で行政庁に働きかけます。その結果、欠格期間が本来より短縮されたり、場合によっては免許停止(一定期間の停止処分)にとどまるケースも現れています。処分前の意見の聴取の場でこうした情状を主張することはもちろん、その前に書面提出を行って審査段階から考慮してもらうことも戦略として有効です。専門知識を持つ弁護士であれば、行政庁が判断基準としている警察庁通達や過去の運用例なども踏まえ、適切なポイントを突いた主張が可能になります。
  • 複雑な制度への対応: 運転免許の点数制度および処分手続は、一般の方には分かりにくい複雑なルールが多数存在します。例えば「免許取消歴等保有者」に対する欠格期間の加重や、処分を遡って前歴として扱う**「みなす処分」**の登録など、制度自体が年々複雑化しているのが実情です (山本聡「行政処分の現状と当面の課題」月刊交通2021年5月号(640号)4-15頁)。また、処分種別ごとに適用法令や手続も細分化されており、一部でも手続を誤ることがあってはなりません。このような複雑な制度の下、処分を争ったり有利な解釈を引き出したりするには最新の法令知識と実務経験が必要不可欠です。法律の専門家である弁護士に依頼すれば、制度の抜け道や適用除外の可能性も含め総合的に検討し、最善の策を講じることが期待できます。

以上のように、事故直後から弁護士を関与させることには多くの戦略的メリットがあります。ただし重要なのは**「とにかく早く」**動くことです。警察による違反等登録が完了し、正式に処分手続に乗ってしまった後では、打てる手が限られてしまいます。次に述べる具体的な裁判例も踏まえ、早期対応の大切さを見てみましょう。

 

裁判例に見る早期対応の重要性:東京高裁平成24年9月25日判決

 

違反をしてしまった後でも、適切な対応次第で免許取消処分を免れた例として、有名な裁判例があります。**東京高等裁判所平成24年9月25日判決(運転免許取消処分取消請求事件)**です。この事件の概要を紹介しましょう。

ある外国人の男性(控訴人)は普通自動車免許しか持っていないにもかかわらず、誤って**中型自動車(トラック)**を運転してしまいました。それ自体は道路交通法上の「無免許運転」(免許の条件外運転)に該当し、神奈川県公安委員会は同人に対して運転免許取消処分(欠格期間1年)を科しました。通常であれば、違反点数19点(無免許運転の基礎点数)にそれまでの累積点数を加算して取消基準を超えていますから、処分自体は点数制度のルール通りとも言えます。しかし、控訴人(運転者)はこの処分を不服として提訴し、最終的に裁判所が免許取消処分を取り消す判断を下したのです。

裁判所が着目したのは、この運転者に重大な落ち度があったかどうかという点でした。実は、運転者は中型トラックを運転する前に警察署(川崎臨港署)を訪れ、自分の普通免許でその車を運転できるか確認していました。そして、交通課の警察官から「あなたの普通免許で運転できますよ」と教示されたため、それを信じて運転に至ったのです。ところが実際には法律上その車両は中型に分類されるもので、公安委員会は無免許運転だとして免許取消にしたわけです。

このような経緯を踏まえ、東京高裁は次のように判断しました。たしかに法律上は無免許運転という違反事実が客観的に存在し、免許取消処分自体は法令上可能である(行政処分を行う要件として刑事上の有罪判決は不要で、客観的事実があれば足りる)。しかしながら、本件では運転者が事前に警察官から「運転してよい」とのお墨付きを得ていたのであり、そうであれば自らの判断で運転を差し控えることを期待するのは困難である。そのような事情があるにもかかわらず、一律に免許取消処分(運転禁止の制約)を科すことは、将来の道路交通上の危険を防止する手段として適切さを欠き、運転者に対して過大な制約を課すものといえ、行政処分として妥当性を欠いている。したがって本件取消処分には裁量権の範囲を逸脱した違法がある──このように述べて、裁判所は免許取消処分を取り消しました。

要するに、この裁判例では**「警察官の誤った説明を信じて違反に至った」という極めて特殊な事情**を考慮し、免許取消処分が取り消されたのです。運転者に落ち度がほとんどないケースであったとはいえ、通常であれば行政処分がそのまま通ってしまいかねないところを、適切な主張立証によって救済を勝ち取った点で注目すべき事例と言えます。

この事例から学べるのは、違反者側の積極的な働きかけの重要性です。もしこの運転者が何もせず処分を受け入れていたら、警察官に誤導された事実が考慮されることもなく免許取消が確定していたでしょう。しかし彼は争ったことで、自らの無実に近い事情を明らかにし、最終的に裁判所から処分を覆す判断を得ることができました。

もっとも、このケースは非常に例外的であり、警察官の誤った教示という明確なミスがあったからこそ勝ち得た結果とも言えます。多くのケースではここまで極端な事情はないかもしれません。しかし例えば、「違反の立証が不十分」「違反に至る背景に同情すべき点がある」「処分が明らかに重きに失する」など、何らかの有利な主張が考えられる場合には、泣き寝入りせずに主張していくことで処分を軽減できる可能性はあります。その際、警察や行政相手に理路整然と自己の事情を訴えていくためにも、法律の専門家である弁護士の助力が大きな力になるのです。

 

登録前介入の現実性と実務上のポイント

 

ここで疑問に思われるかもしれません:「本当に違反等登録前に警察と交渉なんてできるのか?」「一般人がお願いしても、警察は処分手続きを止めてくれるものなのか?」。確かに、警察は前述のように違反を認知したら速やかに登録・処分へと進める姿勢を取っており、基本的に違反者側の都合で手続きを中断することは期待しにくいかもしれません。しかし、「違反事実の有無」や「処分の適否」に関わる重要な情報が新たに示されれば、警察も無視はできません。

例えば、先ほどの裁判例のように**「警察官から誤った教示を受けていた」**という情報は、警察にとっても看過できないものです。同様に、「無免許運転だと思われたが、実は適法に運転できるケースだった」「酒気帯び運転の検査機器が故障していた可能性がある」といった具体的な疑念が提示されれば、警察はそれらを確認・調査せざるを得なくなります。その過程で、違反等登録や処分執行が一時的に見送られることもあり得ます。

実務的な介入方法としては、弁護士が依頼者から詳細を聞き取り、必要に応じて現場検証や証拠収集を行った上で、捜査機関や処分庁に対し文書を提出する方法が考えられます。警察の取り調べ段階であれば、弁護士が作成した意見書や違反事実に関する証拠資料を提出し、「現時点で行政処分を決定するのは早計である」ことを訴えることができます。また、公安委員会宛に早い段階で弁護士名で意見申出書を送付し、聴聞の場で主張したい事項を事前に伝えておくこともできます。こうした事前のアクションによって、「ひょっとするとこのケースは慎重に判断すべきかもしれない」と相手に認識させることができればしめたものです。

重要なのは、そのような有利な材料や主張の**「種」**があるならば、少しでも早く動くことです。違反等登録後であっても聴聞の機会はありますが、その頃には警察側の記録も固まり、処分案もほぼ決まっていることが多いのが実情です。対して、事故直後であれば証拠も新鮮で集めやすく、警察の認識も確定していない段階です。時間との勝負というのはまさにこのことを指します。一刻も早く弁護士に相談し、適切な主張・証拠を揃えて臨めば、最終的な処分を左右し得るだけの材料を提供できる可能性が高まります。

現実には「それでも警察は聞く耳を持たず登録してしまった」ということもあるかもしれません。しかし、その場合でも弁護士が早期から動いていたことは決して無駄にはなりません。前述のように聴聞や不服申立て、さらには裁判で争う際にも、初期段階から準備していた証拠や主張が大いに役立つからです。実際、行政処分担当部署では大量の違反記録を日々処理していますが、その中で後から不服申立てや行政訴訟で争われるケースも増えています。最初から弁護士が付いて丁寧に事実関係を主張していれば、処分庁側も安易な判断は避けるでしょうし、仮に処分が出てもその後の争いで覆る見込みが高まります。

一方で、何もせず処分執行を遅らせようと逃げ回る戦術は得策ではありません。公安委員会は所在不明の違反者に対しても、所在が判明し次第すぐに処分書を交付して取消処分を執行できるよう、様々な手段を講じています。例えば、聴聞の場においてその場で処分書を交付する方法、警察署の留置施設に収容中であればそこで処分書を渡す方法など、確実に免許取消処分を執行する工夫がされているのです。処分から逃げ続けることは現実的に困難であり、状況を悪化させるリスクも高まります。やはり正攻法で、自身に有利な材料をもって交渉・主張することこそが、結果的に自分の運転資格を守ることにつながるのです。

 

まとめ:免許取消を避けたいなら、事故後すぐの弁護士相談がカギ

 

無免許運転や酒気帯び運転による免許取消処分は、違反者にとって極めて重大な不利益となります。しかし、本記事で述べたように、まったく打つ手がないわけではありません。ポイントは、事故後できるだけ早く専門家である弁護士に相談し、行政処分が確定してしまう前に適切な対応を取ることです。早期に弁護士を依頼すれば、警察との交渉から証拠集め、聴聞での主張に至るまでトータルでサポートを受けることができ、自分一人では気づかなかった論点や証拠を引き出してもらえるでしょう。

繰り返しになりますが、タイミングと専門知識が命です。時間が経てば経つほど状況は不利になりがちです。警察から聴聞通知が来てから慌てて相談に来る方もいますが、理想を言えば違反で摘発された直後、あるいは事故直後から動き出すのが望ましいです。弁護士に依頼すれば、警察対応の段階から法的助言を受けられますし、場合によっては捜査段階で示談交渉を進めることなどにより、刑事処分・行政処分の双方に好影響を与えられる可能性も出てきます。

最後に付言すれば、無免許運転や飲酒運転そのものは決して許される行為ではありません。たとえ事情があったにせよ、社会的に大きな非難を浴びる行為です。ですが、「生活や仕事のためどうしても免許を失うわけにいかない」という切実な事情を抱える方も現実には存在します。そうした方が二度と違反を繰り返さないことを前提に、わずかな可能性に賭けてでも免許取消を避けたいと思うのであれば、ぜひ早めに弁護士に相談してみてください。早期の適切な対応こそが、厳しい行政処分から自身の運転資格を守り、将来にわたってハンドルを握る機会をつなぎ留めるためのカギとなるでしょう。

 

※酒気帯び・無免許運転については、行政処分では「故意」が不要という点も重要です。

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