load

薬院法律事務所

刑事弁護

初犯の盗撮事件で、息子が逮捕されたが勾留されるかどうか心配だという相談


2018年11月21日刑事弁護

【相談】

 

Q、息子が駅で盗撮をして逮捕されたということで警察から連絡がありました。インターネットで調べると、逮捕だけであれば3日間で釈放されるけれど、勾留されるとさらに10日間は出られないと書いてありました。勾留されずにすまないでしょうか。

A、初犯で、自白している案件であれば、検察官から勾留請求がされても勾留が回避できる場合があります。両親など身元引受人がついていれば、勾留請求自体を回避することができる場合もあります。

 

【解説】

 

事案によりますが、学校内に侵入して盗撮したといった事案でなく、偶発的な内容の場合は、本人が自白していて、身元引受人がついているのであれば、勾留請求が認められない可能性は十分あります。さらに釈放の可能性を高めるためには、弁護人をつけて示談交渉の準備ができていることを示すことも有用です。「被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」がないことをしっかりと示す必要があります。

 

刑事訴訟法

https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131#Mp-Pa_1-Ch_9

第六十条 裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
一被告人が定まつた住居を有しないとき。
二被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
②勾留の期間は、公訴の提起があつた日から二箇月とする。特に継続の必要がある場合においては、具体的にその理由を附した決定で、一箇月ごとにこれを更新することができる。但し、第八十九条第一号、第三号、第四号又は第六号にあたる場合を除いては、更新は、一回に限るものとする。
③三十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)及び経済関係罰則の整備に関する法律(昭和十九年法律第四号)の罪以外の罪については、当分の間、二万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる事件については、被告人が定まつた住居を有しない場合に限り、第一項の規定を適用する。

 

【参考文献】

 

伊丹俊彦・合田悦三『逐条実務刑事訴訟法』(立花書房,2018年11月)136頁

【今日多い事件としていわゆる盗撮(条例違反)事件があり、事案の性質上、自宅に過去の盗撮画像データ(常習性に関する重要な証拠となる。)が保管されている蓋然性が高く、捜索差押が未了の場合にはそのデータを消去することが容易であって、罪証隠滅のおそれが一定程度想定される。しかし、一般には法定刑は重くないことからすれば、最終処分の見込みに加え、被疑者が常習性を含めて事実関係を自認し、データの消去をしない旨確約しているかどうかなどを勾留質問等を通じて勘案し、罪証隠滅のおそれが強いと認められるかどうかを十分検討すべきであろう。家庭内における暴行、傷害等の事件では、被害者と離れて生活できる環境が整っているかどうかが重要であろう。罪証隠滅や逃亡のおそれを低くするために、被疑者・被告人や近親者等に一定の誓約をさせるなどの工夫も実務上行われている。】

盗撮事件弁護要領(性的姿態等撮影罪・迷惑防止条例)

ご相談後の流れ(身柄拘束事件)