文献紹介 梶山健一郎「ショートパンツを着用した被害者が自ら露出している膝裏付近の動画撮影行為であっても、社会通念上、性的道徳観念に反する下品でみだらな動作であり、被害者と同様の立場に置かれた人を著しく差恥させ、かつ不安を覚えさせるような行為であると認められるとした事例(東京高判令5. 7. 11判決・確定」研修905号(2023年11月号)76-86頁
2024年06月01日刑事弁護
着衣の上からの盗撮(無断撮影行為)について、性的姿態等撮影罪とならない場合であっても、「迷惑防止条例」の「卑わいな言動」として処罰されることがあります。これは性的姿態等撮影罪が成立する以前からそうでしたが、近時は「無断撮影行為」に対する社会意識の変化があり、かつてであれば立件されなかった事案でも、立件、処罰される傾向にあるようです。
標記の記事は、【被告人が、東京都内の地下鉄駅に設置されたエスカレーター及び階段上において、女性に対し、その後方から、手に持っていた動画撮影機能付き携帯電話機を、同人のコートの下方から上方に差し向け、ショートパンツを着用した同人の大腿部等を近接して撮影したという事案】です。また、この事案では、【被害者は、目撃者が盗撮されていたと説明したところ、関わりたくないとしてどこかへ立ち去っている】という事情がありましたが、立件され、処罰されています。盗撮(無断撮影行為)については、「下着を盗撮しているわけではないから」といったことで正当化している人もいると思いますが、発覚した時点で、職も、社会的信用も、家族の信用も大きく失う大変な問題です。下に紹介する2冊の本は、下着盗撮にはまり込んでいる人にお勧めしている本です。誰も幸せにしない「悪習」ですので、速やかに断ち切られることを願います。
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00002212.html
(粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止)
第五条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
三 前二号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。
下半身にカメラ構え「卑わいな言動」最高裁が判断 平成20年判決からの「時代の変化」
https://www.bengo4.com/c_1009/n_15373/
※参考書籍
やめたいのにやめられない 悪い習慣をやめる技術
小早川 明子 著/平井 愼二 監修
https://www.forestpub.co.jp/author/kobayakawa/book/B-1945
マンガでわかる 愛着障害
自分を知り、幸せになるためのレッスン
岡田尊司/監修 松本耳子/漫画
https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334951283
※参考記事