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薬院法律事務所

刑事弁護

逮捕された場合の実名報道回避は可能か?


2021年07月30日読書メモ

逮捕された場合は、原則としてマスコミに対して実名での報道発表の対象になります。従って、逮捕された場合には、なかなか警察に働きかけての実名での報道阻止をすることは困難です。そのため、どうしても報道を回避したいということであれば、自首をして対応するというのが一般的になります。なお、マスコミにおいて報道価値がないということで実名報道をしないこともあります。

それでもあえて逮捕後での報道阻止を狙いたいということであれば、警察が報道発表をする時の考慮要素を踏まえて(一般には公開されていませんが、下記のような警察官専売の専門雑誌に考慮要素が書かれています)、あらかじめ意見書を作成しておくということはありえます。そして、依頼者にもたせて、依頼者が逮捕された時に警察に「実は弁護士に依頼していて」ということで捜査にきた警察官に渡すということは考えられます。とはいえ、担当部署が違う(広報部門が担当)のため受け取ってくれない場合はあります。

 

KOSUZO 2016年3月号付録 管理論文2016 116頁

【4 報道発表の基準

捜査への支障の有無、被害者など関係者のプライバシー、事件発表による公益性等を勘案し、警察が責任を持って個別に判断する。

(1) 逮捕事件

原則として被疑者・被害者共に実名で報道発表する。

(2)任意事件

一般的に公表には馴染まず、発表する場合には、被疑者は仮名あるいは匿名とする。】

引用したKOSUZOという雑誌は検索してもらうとわかるのですが、現役の警察幹部が執筆していたことで問題になった雑誌です。そのため信憑性は高いです。

なお、同文献には「実名・仮名の判断基準」という項目もあり「警察庁の見解としては・・・」という記載もあります。

※参考

刑事事件における実名報道の基準

警察の事件事故報道基準

まとめ記事です。

警察の報道発表(実名報道)回避のための弁護活動