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薬院法律事務所

交通事故(刑事)

駐車場で、ドアを他の車にぶつけてしまい「あて逃げ」にならないか不安だという相談(交通事故、刑事弁護)


2024年10月03日交通事故(刑事)

※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

 

【相談】

 

Q、私は、福岡市に住む40代男性です。先日、スーパーの駐車場に車を停めていたのですが、車に乗るときにドアを開いて隣の車にあたりました。見た感じでは傷は全くなかったのですが、インターネットを見ると「あて逃げ」になるのではないか不安です。どうしたらいいでしょうか。

A、念のため警察に伝えてもいいですが、傷が全くないのであれば問題になることは事実上ないでしょう。念のため、ぶつかった箇所の写真を撮っておくといいと思います。

 

【解説】

 

時々誤解がありますが、自動車が他の自動車に接触しただけでは報告義務違反にならないです。「交通事故」である必要があります。報告義務が生じる物の損壊の程度については、道路交通執務研究会編著『執務資料道路交通法解説(18-2訂版)』(東京法令出版,2022年11月)842頁は【その物の損壊の程度、具体的危険発生の有無、危険防止措置の要否の如何を問わず、いやしくも物の損壊のあったすべての場合を含むものであって、その程度が軽微であってもよい(昭四三・五二七仙台高裁)】とします。これが一般的な解釈です。ただ、「軽微」でも損壊は必要ですので、全く傷がないような事案では「交通事故」にあたらず、報告義務は発生しません。民事上の損害賠償義務も発生しません(「損害」がないので)。

 

道路交通法

https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000105

(危険防止の措置)
第六十七条
2前項に定めるもののほか、警察官は、車両等の運転者が車両等の運転に関しこの法律(第六十四条第一項、第六十五条第一項、第六十六条、第七十一条の四第四項から第七項まで及び第八十五条第五項から第七項(第二号を除く。)までを除く。)若しくはこの法律に基づく命令の規定若しくはこの法律の規定に基づく処分に違反し、又は車両等の交通による人の死傷若しくは物の損壊(以下「交通事故」という。)を起こした場合において、当該車両等の運転者に引き続き当該車両等を運転させることができるかどうかを確認するため必要があると認めるときは、当該車両等の運転者に対し、第九十二条第一項の運転免許証又は第百七条の二の国際運転免許証若しくは外国運転免許証の提示を求めることができる。

(交通事故の場合の措置)
第七十二条 交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。同項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置(第七十五条の二十三第一項及び第三項において「交通事故発生日時等」という。)を報告しなければならない。

 

交通犯罪(救護・報告義務違反)弁護要領(ひき逃げ・当て逃げ)