高校生の息子が盗撮をしたが、家庭裁判所で何を訊かれるのかという相談(盗撮、少年事件)
2024年11月11日刑事弁護
※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
【相談】
Q、私の息子は、福岡県の公立高校に通う高校二年生です。息子が通学中に女子高生のスカートの中を盗撮して、周りの人にバレて捕まりました。弁護士さんをつけて示談をしたのですが、家庭裁判所から呼び出しがあり不安です。弁護士さんからは「ありのまま回答すれば良いから」といわれていますが、どう回答すれば良いのか教えて欲しいです。
A、ご不安なことだと思います。「ありのまま回答」といわれても、大事な息子さんの人生に関わることで心配ということは良くわかります。家庭裁判所でどんなことを訊かれるのか弁護士さんと一緒にシミュレーションをしてみるといいと思います。それをしてくれないのであれば、他の弁護士のセカンドオピニオンを求めてもいいと思います。
【解説】
近時、学生が盗撮行為をする事件が増えているようです。スマートフォンが一般になり、簡単に撮影できてしまうということがあるのでしょう。それまでにまったく「非行」がなく、むしろ「自慢の息子」であった人が盗撮をしてしまい、捕まった、ということもしばしば聞く話です。少年のうちに、しっかりと自己分析をしておかないと、成人になってから「再発」する可能性もあります。弁護士を選ぶときは盗撮事件、少年事件に詳しい弁護士を選ぶことが大事です。相談事例のようなアドバイスは、弁護士が良くしがちなものですが…何故「ありのまま」で良いのかちゃんと説明しなければいけないと思います。家庭裁判所で訊かれることについても、付添人としてきちんと説明できる弁護士を選ぶべきでしょう。
性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律
https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC0000000067
(性的姿態等撮影)
第二条 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは肛こう門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
法務省 性犯罪関係の法改正等 Q&A 令和5年7月
https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00200.html
トップ > 裁判手続案内 > 裁判所が扱う事件 > 少年事件
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_syonen/index.html
【参考文献】
野島一彦監修「家庭裁判所②盗撮事件」『公認心理師分野別テキスト④司法犯罪分野』(創元社,2019年3月)72-75頁
72頁
【Aは、進学校である県立高校の普通科に在籍し、成績は、学年の真ん中、4年制大学への進学を希望している。これまでAは、大きな病気をしたことはなく、乳幼児健診で異常を指摘されたこともなく、学校生活で不適応を起こすこともなかった。小学校低学年から地域のサッカーチームに所属し、中学校でもサッカー部に所属して、同じ部内の友人たちと親しく交友していた。高校でもサッカ一部に所属し、3年生に進級して、6月には地区大会が控えていた。】
74頁
【家庭裁判所調査官は、Aの再犯を防ぐために、事実の調査を行い、非行メカニズムの分析をし、Aの要保護性を見極め、どのような処遇が適切かを明らかにして裁判官に報告する。】
https://www.sogensha.co.jp/productlist/detail?id=3949
須藤明「家庭裁判所調査官の実務-”家裁送致”のその先で-社会調査と心理検査」捜査研究2022年10月号(864号)32頁