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薬院法律事務所

刑事弁護

盗撮事件、事件現場での犯行再現を避けたいという相談(盗撮、刑事弁護)


2024年11月24日刑事弁護

※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

 

【相談】

 

Q、私は、福岡市に住む20代男性です。駅のエスカレーターで、スマートフォンで女子高生のスカートの中を盗撮していたところ、後ろにいた男性に見つかって取り押さえられました。警察にはスマートフォンも提出して、その日は親が身元引受人にきて帰宅できました。インターネットで見ると、今後、「実況見分」が行われるということで、犯行をした場所で被害者役の警察官と犯行再現をさせられるという記事を見ました。誰に見られるかわからないので、それは避けたいのですが、どうにかならないものでしょうか。

 

A、犯行再現については、任意捜査として行われるものですので、拒否できます。ただ、拒否した場合には執拗に取り調べがなされて事件が長引く可能性もありますので、妥協案として、警察署内での再現にとどめてもらうということは考えられるでしょう。また、犯行現場の「引き当たり捜査」がなされることもありますが、その点についても、行わないか、あるいは人のいない時間帯に行うように弁護人から申し入れをしてもらうことが考えられます。

 

【解説】

 

盗撮事件の場合、防犯カメラなどで犯行場面がはっきり映っていないことがあります。そうした場合、警察官としては、実際の犯行内容を被疑者に再現させることで、撮影した映像+目撃者の証言+本人の自白+犯行再現状況報告書(実況見分)によって、被疑者が盗撮をしたことが間違いないという証拠を固めようとしてきます。とはいえ、現場での再現については、とりわけ人が多い場所においては本人の名誉を著しく害することが考えられます。あくまで任意捜査ですので、刑事訴訟法196条の規定を踏まえて、折り合いをつけるということで、弁護人から申し入れをしてもらい、警察署での再現にしてもらうといった対応をとってもらうべきでしょう。

刑事訴訟法

https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131

第百九十六条 検察官、検察事務官及び司法警察職員並びに弁護人その他職務上捜査に関係のある者は、被疑者その他の者の名誉を害しないように注意し、且つ、捜査の妨げとならないように注意しなければならない。

 

【参考文献】

 

波田野正典「地域警察官のための捜査書類作成ガイドー検察官はここを見るー第13回 捜査報告書(その1)」警察公論2018年3月号43-52頁

48頁

【(4)エスカレーター上におけるスマホを用いた盗撮(いわゆる「迷惑防止条例〔東京都〕」5条1項2号違反)事件
① 被害者がエスカレーターに乗った時の被害者と被疑者の状況
② 被疑者が被害者の後ろに接近した状況
③ 被疑者がスマホを被害者のスカート内に差し向けて撮影した状況
④ 被害者が気付いた状況
⑤ 被害者がスマホを持っていた被疑者の腕を掴んで被疑者を捕まえた状況の各再現写真(再現者の説明付)を添付】

https://cir.nii.ac.jp/crid/1520291855286370048

 

盗撮事件弁護要領(性的姿態等撮影罪・迷惑防止条例)

ご相談後の流れ(在宅事件)

性的姿態等撮影罪の施行により、量刑が変化したかという問題(盗撮、刑事弁護)