人身事故で書類送検された…不起訴を勝ち取るために大切なこと(ChatGPT4.5作成)
2025年06月19日刑事弁護
人身事故で書類送検された…不起訴を勝ち取るために大切なこと
交通事故で人に怪我をさせてしまい、警察から「書類送検」と言われると、「このまま前科がついてしまうのか」「裁判になるのか」と大きな不安に襲われることでしょう。しかし、適切な対応を取れば不起訴処分、つまり起訴されずに済む可能性があります。不起訴になれば刑事裁判を確実に避けられ、前科もつきません。この記事では、人身事故を起こして書類送検されてしまった方に向けて、不起訴を勝ち取るために大切なポイントをやさしく丁寧に解説します。焦らず冷静に対処することで、最善の結果を目指しましょう。
人身事故とは何か?刑事事件としての構造と書類送検までの流れ
人身事故とは、自動車などの運転中に不注意により人にケガを負わせてしまった事故のことです。法律上は「自動車運転処罰法」に定められた過失運転致死傷罪(過失運転致傷)が成立します。この罪の法定刑は7年以下の拘禁刑(※2025年6月1日施行の法改正により懲役刑・禁錮刑が一本化された新しい刑罰)または100万円以下の罰金と重いものです。たとえ被害者が死亡しない「致傷」事故であっても、起訴され有罪になれば最大でこれだけの刑罰を受けうるため、油断はできません。
もっとも、現実には軽いケガの事故であれば刑事処分が不起訴や罰金にとどまるケースも多くあります。事故は誰にでも起こりうるものであり、被害が軽微な場合にまで一律に厳罰を科すのは適切でないとの判断が働くためです。そのため、被疑者(加害者)に前科がなく深く反省しているケースでは、正式な裁判ではなく略式手続で罰金刑が科されたり、さらには起訴猶予によって不起訴処分となったりする可能性があります。
人身事故を起こすと、まず警察が現場検証や事情聴取などの捜査を行います。その後、警察は**検察庁へ事件を送致(送検)**し、検察官が起訴するか不起訴にするかを判断します。これがいわゆる「書類送検」と呼ばれる手続きです。事故の状況によっては加害者が逮捕・勾留される場合もありますが、死亡事故や悪質な違反でもない限り、逮捕されず在宅のまま捜査を受けることも少なくありません。書類送検とは、加害者本人の身柄は拘束せず書類上で事件を検察官に送致する方法であり、送致後は検察官が独自に捜査(必要に応じて補充捜査)を行ったうえで起訴・不起訴を決める流れです。
不起訴とは?起訴猶予と嫌疑不十分の違い
不起訴とは、検察官が「起訴しない」、すなわち刑事裁判にかけないという判断を下すことです。不起訴処分となれば事件はそこで終了し、被疑者にとっては裁判を避けられるだけでなく、有罪判決が言い渡されないため前科も残りません。日本の刑事裁判は一度起訴されてしまうと有罪率が99%以上にも達すると言われます。したがって、刑事事件の被疑者となった場合には、まず何より不起訴処分の獲得を目指すことが重要です。
不起訴処分にはいくつか種類がありますが、主に以下の二つが交通事故のケースで問題となります。
- 嫌疑不十分: 犯罪の疑いは完全には否定できないものの、有罪とするだけの証拠が十分ではない場合に不起訴となる理由です。事故状況に争いがあるケースで、証拠上加害者の過失が立証困難なときなどに適用されます。しかし人身事故の場合、客観的な証拠(現場検証結果や目撃証言、ドラレコ映像など)が揃いやすく、被疑者も事実関係を認めていることが多いため、嫌疑不十分による不起訴はそれほど多くありません。
- 起訴猶予: 有罪にできるだけの十分な証拠があり、法律上は起訴も可能な場合でありながら、被疑者の情状(反省の深さ、被害の軽微さ、示談成立など)を考慮してあえて起訴しないと検察官が判断するケースです。交通事故における不起訴処分の多くはこの起訴猶予と考えられます。例えば加害者が初犯で真摯に反省し、早期に被害者と示談が成立しているような場合には、検察官が起訴を見送り起訴猶予とする可能性が高まります。
なお、極めて稀なケースですが「嫌疑なし」という不起訴理由もあります。これはそもそも犯罪の嫌疑自体が晴れた場合、つまり「事故自体が実は犯罪ではなかった」または「真犯人ではなかった」と明らかになった場合です。しかし意図的な過失が問題となる人身事故では嫌疑なしと認められることはほとんどありません。
いずれの理由にせよ、不起訴処分となれば被疑者は刑事責任を問われずに済みます。ただし嫌疑不十分と起訴猶予では意味合いが異なり、起訴猶予は「あくまで証拠上は有罪だが情状により許された」という位置づけです。一方の嫌疑不十分は「証拠不足で有罪とできなかった」ということで、法律上は無罪推定のまま事件が終結した格好になります。それでも被疑者本人にとっては、いずれも前科がつかず裁判を回避できる点で大きなメリットがあります。
不起訴処分を得るための弁護活動・適切な対応
不起訴を勝ち取るためには、検察官が「起訴する必要がない」と判断する状況を作り出すことが大切です。そのために被疑者本人や弁護人が取るべき具体的な対応策を挙げます。
- 被害者との示談: 不起訴処分を得るうえで最も効果的と言われるのが被害者との示談交渉です。被害者に対して早期に誠意ある謝罪と賠償を行い、慰謝料や治療費などの損害賠償について合意(示談成立)できれば、被害者から「加害者を処罰しないでほしい」という嘆願書をもらえたり、被害届を取り下げてもらえたりする場合があります。検察官にとっても被害者が処罰を望んでいない事案をわざわざ起訴する必要性は低くなるため、示談成立は不起訴に大きく近づく重要な要素です。示談金の相場はケガの程度や治療期間によってある程度定型化されていますが、無理のない範囲で可能な限りの補償をし、被害者の方に納得していただくことが大切です。示談交渉は加害者本人が直接行うと感情的な対立を招いたり、場合によっては証拠隠滅等とみなされ不利になる恐れもあります。弁護士を通じて冷静に交渉することで、円満な解決と不起訴の可能性向上につなげましょう。
- 供述調書の確認: 警察で事故状況について取り調べを受けると、後日「供述調書」という形であなたの説明が文章にまとめられます。これは検察官や裁判官も目を通す重要な資料ですので、内容をよく確認することが必要です。取り調べ時には緊張や混乱から事実と異なることを話してしまったり、自分の過失を過度に大きく表現してしまったりする人身事故の加害者もいます。しかし調書に誤った内容や言い過ぎた表現が残ってしまうと、検察官が受ける印象も重くなり、起訴の判断に影響しかねません。弁護士に依頼していれば、調書の内容についてアドバイスを受けたり、必要に応じて検察官に訂正や補足の意見書を提出したりすることも可能です。警察官から調書への署名・押印を求められた際には、納得できない記載がないか落ち着いて確認し、不明点は遠慮せず質問しましょう。
- ドライブレコーダー解析: 事故当時の車両の**ドライブレコーダー(ドラレコ)**映像が残っている場合、それは非常に重要な客観的証拠となります。ドラレコ映像を解析することで、事故の詳細な状況や双方の過失の程度を明らかにできる可能性があります。例えば「被害者が突然飛び出してきた」「ブレーキはかけていたが間に合わなかった」など、加害者の悪質性が低い事情が映像から読み取れれば、検察官も起訴を思いとどまる材料としやすくなります。弁護士は専門家としてドラレコの映像や現場写真、ブレーキ痕など各種証拠を精査し、被疑者に有利な事情を見逃さず拾い上げて主張してくれます。事故現場付近の防犯カメラ映像や目撃者の証言なども含め、可能な限り客観的証拠を集めておくことが大切です。
- 再発防止策の提示: 「二度と事故を起こさない」という強い意志を具体的な形で示すことも、不起訴を目指す上で有効です。例えば、安全運転講習や交通安全教室に自主的に参加して事故防止の啓発を受けたり、必要に応じて運転する頻度を減らす・夜間の運転を控える等の生活改善を図ったりしてみましょう。また高齢の方であれば運転免許の自主返納を検討することも再発防止策として有効です。そうした取り組みを行った証拠(講習修了証や誓約書等)を用意し、弁護士から検察官に「被疑者は真摯に反省し再発防止に努めています」というアピールをしてもらえれば、処分を寛大にしてもらえる可能性が高まります。反省文や謝罪文を作成して提出することも有効です。事故を起こしてしまった原因を分析し、今後どう改善するかを自筆で整理して示すことで、検察官に与える印象も確実に良くなるでしょう。
実例紹介(仮名)
最後に、不起訴処分を勝ち取った事例を一つご紹介します。この事例では、早期の対応が功を奏し不起訴に至った好例と言えるでしょう。
ケース: Aさん(仮名、40代男性会社員)の事例。Aさんはある朝、自宅から車で通勤中に横断歩道手前での一時停止を怠って徐行せず進行してしまい、ちょうど横断歩道を渡りかけていた歩行者と衝突して怪我を負わせてしまいました。幸い被害者の方の命に別条はなく、打撲と軽い骨折で済みましたが、Aさんは過失運転致傷罪の被疑者としてその場で警察から事情聴取を受け、後日書類送検されることになりました。初めての事故であり逮捕はされませんでしたが、Aさんは「このまま起訴されてしまうのか」と不安で夜も眠れない日々を送っていました。
しかしAさんは早い段階で経験豊富な弁護士に相談し、示談交渉など適切な対応を開始しました。弁護士はただちに被害者と連絡を取り、Aさんとともに被害者の入院先へ訪問して直接謝罪しました。被害者の治療費や休業損害についても、Aさん側の任意保険を活用して迅速に補償し、後遺症が残らない見込みであることも確認できました。その結果、事故から約1ヶ月という早い段階で被害者との示談が成立し、被害者の方から「これ以上の刑事処罰は望みません」という内容の嘆願書を書いていただくことができました。
また、Aさんは弁護士の助言に従い、自ら反省の気持ちを綴った謝罪文を作成しました。その中で「なぜ一時停止を怠ったのか」「今後二度と事故を起こさないためにどう改善するか」を丁寧に説明し、被害者と社会への謝罪の言葉を述べました。この謝罪文は示談書とともに弁護士経由で検察官に提出されました。
さらにAさんは再発防止策として、自主的に地元警察署の交通安全講習会に参加し、運転時の注意力を高める訓練を受けました。その修了証を弁護士が検察官に提出し、Aさんの日頃の通勤経路に潜む危険箇所の再点検を行った報告書も提出しました。
こうした一連の迅速かつ誠意ある対応の結果、検察官はAさんのケースについて**起訴猶予処分(不起訴)**とする判断を下しました。事故から約3ヶ月後、Aさん本人に「不起訴処分通知書」が届き、刑事手続は終結しました。Aさんは刑事裁判を避けることができ、前科もつかずに職場復帰を果たしました。後日、Aさんは「早めに弁護士に依頼して的確な対応ができたおかげで、人生を大きく狂わせずに済んだ」と安堵の胸を撫でおろしています。
不起訴になることのメリット
以上のように不起訴処分を得られれば、被疑者にとって様々なメリットがあります。不起訴による主な利点を確認しておきましょう。
- 前科がつかない: 不起訴となれば刑事裁判自体が開かれないため、有罪判決による前科がつきません。交通事故とはいえ有罪になれば前科者となってしまいますが、不起訴であれば公式には「刑事上の責任を問われなかった」扱いです。例えば就職や資格登録の際に前科の有無を問われても、「ありません」と胸を張って答えることができます。社会的な信用を失わずに済むという意味でも、前科がつかない効果は非常に大きなものです。
- 職場・資格への影響が少ない: 刑事処分を受け前科がつくと、職場に知られて立場が悪くなったり、業務に支障が出たりする可能性があります。特に運転を職業とするドライバー職や、公務員・士業など一定の資格職の場合、過失犯とはいえ前科がつくと欠格事由に該当したり、信用失墜による処分を受けたりする恐れもあります。しかし不起訴であれば、有罪ではないため基本的にこうした不利益処分の対象にはなりません。実名報道なども通常は行われず、周囲に知られずに済むケースも多いでしょう。仕事や日常生活へのダメージを最小限に抑えられる点は、不起訴獲得の大きなメリットです。
- 刑罰・裁判の負担を回避できる: 起訴されれば、公判に向けた準備や何度もの裁判出廷など長期間にわたる負担が生じます。仮に執行猶予付き判決となっても有罪は有罪ですし、罰金刑であっても前科が残ります。不起訴になればそうした刑罰そのものを受けずに済み、経済的・精神的負担を大幅に減らすことができます。被害者への賠償は必要でも、それは民事上の責任にとどまり、刑事罰とは切り離して考えることができます。
早期に弁護士に依頼することで状況が大きく変わる理由
人身事故を起こした直後からできるだけ早期に弁護士に相談・依頼することが、不起訴の可能性を高める大きな鍵となります。専門家のサポートによって具体的にどのような点で状況が好転しうるのか、主要な理由を挙げます。
- 迅速な示談交渉で被害者の許しを得やすくなる: 弁護士は法律のプロとして、被害者との交渉を適切な方法で進めてくれます。事故から時間が経つほど被害者の処罰感情が強まってしまうケースもありますが、早期に弁護士が間に入ることで、被害者感情が硬化する前に話し合いの場を設けることが可能です。被害者も加害者本人とは直接話しにくいことが多いため、第三者である弁護士が代理人となることで冷静な協議が実現します。その結果、示談成立や嘆願書の取得といった成果に結びつきやすくなり、不起訴への道が開けます。
- 証拠収集と有利な情状の主張: 弁護士に依頼すれば、事故に関する証拠を漏れなく集め、有利な事情を検察官に伝える働きかけをしてもらえます。先述のドラレコ映像の収集・解析、現場の見取り図作成、専門家による鑑定手配など、個人では難しい証拠収集も弁護士なら可能です。さらに「被疑者は深く反省している」「更生の見込みが高い」といった情状についても、弁護士が書面や口頭で検察官に丁寧に伝えてくれます。これにより、検察官が処分を判断する際に被疑者に有利な材料がしっかり考慮されることになります。
- 取調べや手続対応の適切なアドバイス: 刑事手続に不慣れな一般の方にとって、警察や検察での取調べ対応は大きなストレスです。弁護士は事前に取調べでの注意点を指導してくれるほか、必要に応じて検察官に対し「弁護人がついているので今後の連絡は弁護人を通してください」と依頼することもできます。これにより、不用意な発言で不利になるリスクを減らし、手続きをスムーズに進めることができます。また、供述調書の確認や、不起訴につながる嘆願書・意見書の作成なども弁護士が代行してくれるため、被疑者本人の精神的負担が軽減します。
- 身柄拘束の回避と迅速な釈放: 事故後に逮捕の可能性がある場合でも、弁護士がいち早く動くことで逮捕を回避できることがあります。例えば事前に警察へ出頭の意思を示しておけば逃亡のおそれは低いと判断され、任意同行で済むケースもあります。また万一逮捕・勾留されてしまった場合でも、弁護士がいれば早期の釈放に向けた働きかけ(勾留理由開示請求や準抗告など)を迅速に行えます。実際、交通事犯は弁護士が適切に活動することで勾留を防いだり、不服申立てにより釈放となるケースが比較的多い犯罪類型です。自由の身でいられるかどうかは示談交渉にも大きく影響するため、早期の弁護活動がいかに重要かがお分かりいただけるでしょう。
- 最新の法制度への対応: 前述のとおり、2025年6月には刑法が改正され、懲役刑・禁錮刑の一本化(拘禁刑の導入)などの変更がありました。このような最新の法改正にも精通している弁護士であれば、適切な弁護方針の検討や、改正を踏まえた的確なアドバイスを提供してくれます。ご自身だけでは対応しきれない法的知識のアップデートも含め、専門家に任せる意義は大きいと言えるでしょう。
早期に弁護士を頼ることで、以上のようなメリットを享受しながら、不起訴に向けた万全の対策を講じることができます。人身事故を起こしてしまった直後は混乱しがちですが、ひとりで悩まずまずは弁護士に相談することを強くおすすめします。
おわりに:落ち着いた対応で前科を防ごう
交通事故で書類送検されてしまった状況は、決して他人事ではなく誰にでも起こりうることです。大切なのは、その後の対応次第で結果が大きく変わるという点です。被害者への真摯な謝罪と賠償、そして専門家の力を借りた適切な弁護活動によって、不起訴処分という望ましい結末を勝ち取れる可能性は十分にあります。
事故を起こしてしまったこと自体は消せませんが、その後の行動によっては前科を回避し、社会的信用や日常生活を守ることができます。不安な気持ちはあるかもしれませんが、ぜひ落ち着いてできることから着実に取り組んでください。困ったときは早めに弁護士に相談し、最善の道を探りましょう。適切な対応さえすれば、きっと明るい解決への道が開けるはずです。読んでいただきありがとうございました。
参考資料:
- 富山県・石川県・福井県で刑事弁護を扱う北陸刑事事件弁護団「不起訴処分(起訴猶予・嫌疑不十分)になるケース」
- 弁護士法人ALG&Associates「過失運転致死傷罪とは?交通事故の刑事処分と対処法」
- 弁護士法人・響(交通事故の被害者向けサイト)「交通事故の相手が不起訴になる理由は?不起訴だと慰謝料に影響する?」
- ウェルネス法律事務所「ひき逃げは弁護士へ相談!不起訴になる事例や理由、方法を解説」
- 契約ウォッチ「【2025年6月施行】拘禁刑とは?懲役や禁錮との違い・刑法改正の背景…」