人身事故を起こしたら免許はどうなる?行政処分とその対応法(ChatGPT4.5作成)
2025年06月25日刑事弁護
人身事故を起こしたら免許はどうなる?行政処分とその対応法
交通事故で人にケガを負わせてしまった場合、「免許はどうなってしまうのか?」と不安になるのは当然です。人身事故を起こすと、たとえ刑事上の罰金刑を免れた場合でも運転免許の停止(免停)や取り消し(免取)の行政処分を受ける可能性があります。本記事では、人身事故加害者の方に向けて行政処分(免許停止・取消)の仕組みや流れ、救済制度、弁護士によるサポートについて、2025年6月現在の最新制度に基づき詳しく解説します。落ち着いて今後の対応を検討できるよう、順を追って説明していきます。
人身事故で科される行政処分と違反点数制度
まず、人身事故を起こした際になぜ免許の停止や取消しといった行政処分が科されるのか、その仕組みを理解しましょう。日本の道路交通法では違反点数制度が設けられており、交通違反や事故を起こすと所定の点数が加算されます。人身事故の場合、交通違反の点数(基礎点数)に加え、事故の結果に応じた**付加点数(事故点数)**が加算されるのが特徴です。
人身事故の付加点数は、被害者のケガの程度(治療期間)と事故における加害者の過失の程度によって決まります。一般に、ケガが重いほど点数は高くなり、また事故が専ら加害者の不注意による場合ほど点数は高くなります。例えば死亡事故であれば、運転者に一方的過失があるケースで付加点数20点、双方に過失がある場合でも13点が科されます。重傷事故(治療期間3か月以上または後遺障害あり)では一方的過失なら13点、過失が双方にあるなら9点が加算されます。軽傷事故の場合、たとえば被害者の治療期間が15日以上30日未満なら付加点数は専ら加害者過失で6点、双方過失なら4点、治療期間15日未満ならそれぞれ3点または2点です。さらに、これら事故点数に加えて安全運転義務違反(道路交通法第70条)など事故原因となった交通違反の基礎点数(通常2点程度)が付与されるため、実際の累積点数は「基礎点数+付加点数」となります。
重大な違反行為が伴う事故では一度で膨大な点数が科されるケースもあります。例えば**ひき逃げ(救護義務違反)**をすると、それだけで基礎点数35点が加算され、人身事故の点数と合わせて一発で免許取消し相当の点数に達することになります(後述)。このように事故の内容に応じて違反点数が加算される点が、人身事故における行政処分の根拠となっています。
免許停止・取消しの条件と点数基準
では、具体的にどのような場合に免許停止処分や取消処分となるのでしょうか。ポイントは累積違反点数です。行政処分歴がないドライバーであれば、過去3年以内の累積点数が6点以上で免許停止、15点以上で免許取消の対象となります。加算された点数がこの基準を超えるかどうかが処分の分かれ目となります。
人身事故による加点と基礎点が合計6点以上になれば免停となりますが、その条件は事故の重さによって異なります。例えば前述の治療期間15日以上の事故では、一方的過失なら付加点数6点(+基礎点数2点程度)で合計8点となり、免許停止処分(30日間)が予定されます。一方、治療期間15日未満の軽微なケガであれば付加点数は3点(+基礎点数2点程度)で合計5点程度に留まり、この事故単体では免許処分の対象にはなりません。実際、「過去3年無事故無違反」で被害者の治療期間が15日未満というケースでは、免許停止・取消しの処分は行われないことが明確にされています。ただし、この場合でも**別の重い違反(ひき逃げ・飲酒運転など)**があれば一発で処分対象となり得ますし、事故以前から他の違反点数が累積している場合は合計点で基準を超えて処分となる点に注意が必要です。
一度の事故で15点以上が付けば免許取消処分となり、一定期間(欠格期間)免許の再取得ができなくなります。欠格期間は違反歴に応じて最短1年(累積15~24点、前歴なし)から最長5年以上にもなり得ます。例えば前歴がない場合でも累積35点以上で欠格期間3年となります。過去に処分歴(免停・免取)がある方は基準点数が下がり、前歴1回なら10点以上で取消し、前歴2回なら5点以上で取消しと厳しくなるため、過去の違反歴も踏まえて判断されます。
まとめると、免許停止・取消しになるか否かは以下のような条件で決まります。
- 事故の内容と点数: 被害者の怪我の程度が重い(治療期間15日以上)場合や死亡事故の場合は、一度の事故で6点以上・15点以上に達する可能性が高く、免停・免取となりやすい。
- 過失の程度: 事故が専ら加害者の不注意による(過失が大きい)場合は付加点数が高くなり、処分基準に達しやすい。
- 他の累積違反: 事故までに他の違反で点数が溜まっていると、今回の事故点数と合算して基準を超える場合がある。
- 過去の行政処分歴: 過去3年以内に免停・免取歴があると、少ない点数でも処分対象となったり、処分期間(欠格期間)が延長されたりします。
以上を踏まえ、人身事故を起こしたからといって必ず免許停止になるとは限りませんが、被害が一定以上であれば相応の行政処分は避けられない仕組みです。特に重傷事故や死亡事故では一度で取消処分となる点数に達しますし、軽傷でも他の違反が重なれば処分となることを理解しておきましょう。
処分通知から意見の聴取・講習までの流れ
人身事故によって累積点数が処分基準に達した場合、具体的にどのような手続きで免許停止・取消しが行われるのでしょうか。ここでは処分の通知から聴聞(意見の聴取)を経て実際に処分が執行されるまでの一般的な流れを説明します。
- 違反点数の確定・通知書の送付: 事故後、警察での調書作成や違反の手続きが進み、最終的に加算される違反点数が確定します。その結果、免許停止や取消しに該当する場合は、都道府県公安委員会から**「運転免許停止処分通知書」あるいは「意見の聴取通知書」**が郵送されてきます。通知書には、累積点数や予定される処分内容、聴取の日時・場所などが記載されています。
- 意見の聴取(聴聞)への出席: 通知書に記載された日時に、指定の会場(各都道府県の運転免許センター等)で意見の聴取手続きが行われます。これは処分を下す前に本人の弁明を聞くための手続で、免許取消や長期の停止(90日以上)が予定されるケースでは必ず実施されます。意見の聴取では、処分を受ける本人が事故状況や情状について口頭または書面で意見陳述を行い、有利な資料(証拠書類)を提出する機会が与えられます。例えば被害者との示談書や嘆願書、事故の過失割合に関する資料等があれば提出し、自身に有利な事情を説明します。聴取当日は受付後、担当者から事案の説明(違反事実の告知)があり、それに対して意見を述べる形で進行します。同席者については、原則として本人が出席しますが、必要に応じて弁護士等が付添人として同行できる場合もあります(各都道府県の規定による)。
- 処分結果の決定・告知: 聴取手続きが終了すると、その日のうちに公安委員会による処分結果が決定されます。会場で午後に結果発表が行われ、免許停止○日間あるいは取消し処分である旨が口頭または書面で告知されます。その場で免許証の提出(返納)が求められ、停止処分の場合は免許証を一定期間警察に預ける形となります(取消しの場合はその場で免許証が失効します)。
- 処分者講習の受講(免停の場合): 免許停止処分となった場合、処分期間中に**「運転者講習(処分者講習)」を受講することで、停止期間を短縮できる制度があります。例えば初回の30日間免停であれば、講習(1日講義・実習)修了後はその翌日から運転再開**が可能になり、実質的な停止期間は1日程度に短縮されます。90日間以上の長期免停でも講習により約半分の期間短縮が見込めます。講習の案内は処分通知とともに届くか、処分執行時に説明がありますので、早めに受講予約を行いましょう。
- 免許取消処分の場合: 残念ながら取消し処分が決定した場合、免許証は即日失効し回収されます。以後、欠格期間が満了するまで新たな免許取得はできません。欠格期間が終われば改めて運転免許試験(学科・技能)に合格する必要があります。なお取消し処分者向けの講習制度はありませんが、欠格期間終了前に取消処分者講習を受講しておく必要があります(再取得の要件)。
以上が行政処分執行までの大まかな流れです。特に意見の聴取は、自分の意見を述べ処分の軽減を求める重要な機会ですので、通知を受け取ったら指定日に必ず出頭するようにしてください(万一出席しないと予定通りの処分が科され、異議申立てのチャンスもほぼ失われます)。
刑事処分との違いと留意点
人身事故を起こすと、行政処分とは別に刑事上の責任も問題になります。被害者を死傷させた加害者は、多くの場合過失運転致死傷罪(自動車運転処罰法)で書類送検され、罰金刑や懲役刑が科される可能性があります。しかし、刑事処分と免許の行政処分は全く別の手続きである点に注意が必要です。
刑事手続きでは検察官が起訴・不起訴を判断し、起訴されれば裁判所が有罪無罪や刑罰を決定します。一方、免許処分は警察および公安委員会による行政上の処分であり、刑事処分とは独立して行われます。そのため、たとえ刑事事件で不起訴処分(起訴猶予など)となっても、免許の点数は加算され行政処分が下される可能性があります。実際に、ひき逃げ事件で加害者が不起訴となったものの、免許には違反点数が加算され処分が科されたケースもあります。逆に、刑事裁判で情状が考慮され罰金刑等に留まった場合でも、免許の停止・取消し処分自体は事故の事実に基づき粛々と執行されます。
このように刑事罰と免許処分は目的も判断基準も異なるものです。刑事罰はあくまで違法行為に対する懲罰ですが、免許処分は違反歴に基づき再発防止や交通安全確保のための行政上の措置という位置づけです。そのため「刑事上許されても運転はさせない」というケースが起こり得ます。ただし、後述するように被害者と示談が成立し刑事処分で寛大な結果となれば、間接的に警察の評価にも影響し、行政処分上も情状が考慮される可能性はあります(明文化はされていませんが、意見の聴取で示談成立を主張すれば考慮材料にはなるでしょう)。
重要なのは、行政処分も軽視しないことです。刑事手続きで不起訴になったからといって安心せず、免許の点数通知や処分通知が来ていないか注意し、適切に対応する必要があります。
行政処分を軽減できる可能性と異議申し立て
「免許取消になりそうだが、何とかならないか?」——人身事故を起こした方にとって、処分の軽減は切実な問題です。結論から言えば、意見の聴取の場で主張し受け入れられれば、予定された処分が軽減される可能性があります。公安委員会は聴取で述べられた内容を踏まえ、処分が適切か再検討します。例えば、被害者のケガが当初見込みより軽微であったとか、事故に至った経緯に酌むべき事情があると認められれば、免許取消が免停に変更されたり、停止期間が短縮されることがあります。実際に、死亡事故であっても聴聞により免許取消ではなく180日免停に軽減された例や、重傷事故(本来取消相当)で免停へと減免された例も報告されています。絶望せず、主張すべき事情があれば積極的に伝えましょう。
意見の聴取で主張すべきポイントは、前述した事故の状況(過失の度合い)や被害の程度に関する客観資料の提出に加え、被害者との示談状況や反省の態度などです。例えば示談成立により被害者から宥恕(許し)の意思が示されている場合は、その証拠として示談書や嘆願書を提出します。また、事故現場の見取図やドライブレコーダー映像があれば過失割合の参考資料となるでしょう。こうした資料は処分を判断する側に「情状の余地」や「過失相殺の余地」があることを示す助けとなります。
万一、聴取で思うような軽減が得られず処分が決定してしまった場合でも、異議申し立ての制度が残されています。具体的には、処分後3か月以内であれば各都道府県公安委員会に対して**「審査請求」という不服申立てを行うことが可能です。審査請求は「処分をした行政庁」に対し再検討を求める手続で、いわば第二の意見聴取の機会ですが、既に下された処分を覆すものなので認められる範囲はやや限定的と言われます。審査請求でも結果が変わらない場合、最終的には裁判所に処分取消しを求める行政訴訟を提起する道もあります。もっとも、審査請求や訴訟には時間も手間もかかり、処分の執行自体を直ちに止める効力は基本的にありません。そのため現実的には、やはり最初の意見の聴取でどれだけ処分を軽減できるか**が非常に重要になります。
軽傷事故で処分が軽減された実例紹介
ここで、人身事故の行政処分が軽減されたケースを一つ紹介します(仮名とします)。**Aさん(30代男性)**は交差点で歩行者と接触事故を起こし、被害者に全治2週間(14日)のケガを負わせてしまいました。Aさんの過失が大きい事故でしたが、幸い被害者は命に別状なく、Aさんは直ちに救護と警察への通報を行い、その後誠意ある対応に努めました。
事故後、Aさんには**「安全運転義務違反」2点と「人身事故(軽傷)」の付加点数5点**(治療14日・専ら加害者過失の場合)が科され、累積点数は合計7点となりました。本来であれば免許停止90日相当のケースです。しかし、Aさんは早期に被害者と示談を成立させ、被害者から「これ以上の処罰は望まない」との嘆願書を書いてもらうことに成功します。意見の聴取の席でAさん(代理人弁護士同席)は、示談成立による被害者の宥恕や事故状況(夜間で被害者側にも一部過失があった点)を詳細に説明し、嘆願書や示談書を提出しました。その結果、公安委員会はAさんの事故を「双方に過失がある軽傷事故」と判断し、付加点数を本来の5点から4点(双方過失の場合)に見直しました。そのおかげで累積点数は6点にとどまり、処分は免許停止30日に軽減されたのです。さらにAさんは処分者講習を受講し、停止期間を短縮させています。
このケースでは、示談の有無や資料提出が行政処分の判断に好影響を与えた一例と言えます。被害者が処分軽減を嘆願してくれたこと、過失割合に斟酌の余地があったことなどが功を奏しました。もちろん全ての事案で同様にうまくいくとは限りませんが、適切な対応次第で**「免許取消を免れて済んだ」「長期の免停が短縮できた」**という結果も十分あり得るのです。
弁護士に相談するメリットとサポート内容
人身事故を起こしてしまった場合、できるだけ早く交通事故に詳しい弁護士に相談することを強くおすすめします。専門家のサポートによって、以下のようなメリットが得られます。
- 早期アドバイスと精神的サポート: 事故直後から何をすべきか(警察対応、保険会社対応、被害者への謝罪・補償交渉等)具体的に指示を受けられます。初めての事故で動揺している加害者にとって、冷静な第三者の助言は心強い支えとなります。事実、弁護士に相談しながら対応することで「適切な供述内容」が整理でき、ひき逃げ事件などでも不起訴を勝ち取った例があります。
- 被害者との示談交渉: 弁護士は被害者側との示談交渉を代理人として円滑に進めてくれます。適正な賠償額の提示や示談書の作成は法律のプロに任せる方が安心です。示談がまとまれば被害者から許しを得られ、刑事処分が大幅に軽減されたり不起訴となる可能性が高まります。それにより前述のように免許の行政処分面でも有利な材料となり得ます。
- 意見の聴取での主張サポート: 前述のとおり、聴取における主張内容・提出資料が処分軽減のカギを握ります。弁護士は事前に**意見書(陳述書)**を作成し、法律的に筋の通った主張を組み立ててくれます。根拠に基づき作成された書面は、本人が独力で作成したものよりも説得力が増し、軽減の可能性が高まるでしょう。実際に当事務所(弁護士)で意見書を準備し処分が軽減されたケースは多数あります。
- 刑事手続との連携: 弁護士が付くことで、警察・検察への対応も適切に行えます。取調べでのアドバイスや、必要に応じて検察官に意見書を提出し不起訴を働きかけるなど、刑事処分を最小限に抑える活動も期待できます。刑事面で前科が付かなければ社会的信用の維持にもつながり、結果的に免許を再取得する際の心理的・経済的負担も軽減されるでしょう。
このように、弁護士に相談することで示談交渉から聴聞対策までトータルな支援を受けることができます。一人で悩んで不安を募らせるよりも、専門家の知見を借りて少しでも有利な結果を目指すことが大切です。
まとめ
人身事故を起こしてしまった後の免許に関する行政処分について、その仕組みと対応策を解説しました。事故の加害者となってしまった方にとって、免許停止や取消しは今後の生活に直結する重大な問題ですが、正しい知識を持ち冷静に対応すれば処分を軽減できる余地も残されています。まずは違反点数制度と処分の流れを理解し、自分のケースではどの程度の処分が想定されるか把握しましょう。その上で、被害者への誠意ある対応(謝罪・補償)や専門家への相談を通じて、少しでも状況を好転させる努力が重要です。
何より大切なのは、事故後に萎縮したり逃げたりせず、前向きにできる限りの手を尽くすことです。示談の成立や反省の態度は、行政処分や刑事処分において必ずプラスに働きます。免許を失うかもしれないという不安は大きいと思いますが、本記事の情報を参考に適切な行動を取れば、最悪の事態を回避できる可能性も十分あります。一人で抱え込まず、必要に応じて弁護士など専門家の力を借りながら、冷静かつ前向きに対応していきましょう。交通事故を起こしてしまった後でも、正しい対応によって未来を取り戻すことは可能です。ぜひ勇気を持って次の一歩を踏み出してください。