自転車の酒気帯び運転(初犯)で不起訴処分を獲得する方法(刑事弁護、道路交通法違反)
2025年08月23日刑事弁護
※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
【相談】
Q、私は、福岡市に居住する会社員男性です。先日、会社での飲み会の帰りに、自転車に乗っていたところ、警察官に呼び止められて酒気帯び運転だといわれて赤切符を渡されました。私は知らなかったのですが、昨年から自転車の酒気帯び運転も処罰されるようになったということです。しかも、職場に通報するといわれています。前科がつくのも困りますし、職場に連絡されるのも困ります。なんとかならないでしょうか。
A、令和6年11月1日からの法改正により、自転車の酒気帯び運転にも罰則がつけられるようになりました。基本的には罰金刑が予想されますが、まだ施行後間もないことから、起訴猶予処分がなされることもあるようです。会社に通報されるか否かはケースバイケースですが、会社での正式な飲み会ではなく、単に同僚たちと飲んでいたといった場合であれば、通報が回避できる可能性もなくはないと思います。いずれにしても、詳しい弁護士に相談すべきでしょう。
【解説】
飲酒運転に対する規制は厳しくなっています。これまで飲み会の帰り道に酔っ払いながら自転車で帰っている人も多かったと思いますが、現在では明確に「犯罪」となされています。そして、福岡県の場合は職場への通報制度もあります。通報されれば職場で懲戒処分を受ける可能性もありますが、すべて通報されるというわけではないようです。確実に処罰や通報を回避できるものではないですが、起訴猶予や嫌疑不十分不起訴を得ることで職場への通報を回避したり、あるいは職場に通報されても懲戒処分を回避できる可能性もあると思います。詳しい弁護士に相談すべきでしょう。
※道路交通法
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
八 車両 自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。
十一 軽車両 次に掲げるものであつて、移動用小型車、身体障害者用の車及び歩行補助車等以外のもの(遠隔操作(車から離れた場所から当該車に電気通信技術を用いて指令を与えることにより当該車の操作をすること(当該操作をする車に備えられた衝突を防止するために自動的に当該車の通行を制御する装置を使用する場合を含む。)をいう。以下同じ。)により通行させることができるものを除く。)をいう。
十七 運転 道路において、車両又は路面電車(以下「車両等」という。)をその本来の用い方に従つて用いること(原動機に加えてペダルその他の人の力により走行させることができる装置を備えている自動車又は原動機付自転車にあつては当該装置を用いて走行させる場合を含み、特定自動運行を行う場合を除く。)をいう。
(酒気帯び運転等の禁止)
第六十五条 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
2 何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない。
3 何人も、第一項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。
4 何人も、車両(トロリーバス及び旅客自動車運送事業の用に供する自動車で当該業務に従事中のものその他の政令で定める自動車を除く。以下この項、第百十七条の二の二第一項第六号及び第百十七条の三の二第三号において同じ。)の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者に対し、当該車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第一項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない。
(罰則 第一項については第百十七条の二第一項第一号、第百十七条の二の二第一項第三号 第二項については第百十七条の二第一項第二号、第百十七条の二の二第一項第四号 第三項については第百十七条の二の二第一項第五号、第百十七条の三の二第二号 第四項については第百十七条の二の二第一項第六号、第百十七条の三の二第三号)
第百十七条の二の二 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
五 第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第三項の規定に違反して酒類を提供した者(当該違反により当該酒類の提供を受けた者が酒に酔つた状態で車両等を運転した場合に限る。)
第百十七条の三の二 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
二 第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第三項の規定に違反して酒類を提供した者(当該違反により当該酒類の提供を受けた者が身体に第百十七条の二の二第一項第三号の政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態で車両等(自転車以外の軽車両を除く。)を運転した場合に限るものとし、同項第五号に該当する場合を除く。)
https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000105#Mp-Ch_4-Se_1
【参考文献】
尾花雄一「「道路交通法の一部を改正する法律」について 第2 自転車等の交通事故防止のための規定の整備」警察学論集77巻10号(2024年10月号)22-69頁
62頁
【また、平成26年から令和5年までの10年間における自転車の酒気帯び運転による死亡・重傷事故率は、約29.5%となっており、自動車等の運転者による同期間中の死亡.重傷事故率(約16.9% )よりも高くなっている。このように、自転車を酒気帯び状態で運転する行為は、自動車等を酒気帯び状態で運転する行為以上に死亡・重傷事故という重大な結果を招く危険性が高いものであり、酒気帯び運転が道路交通に与える危険性を看過することはできず、自転車と自動車等の酒気帯び運転の取扱いに差をつける理由はなくなっていた。
以上のことから、酒気帯び状態で自転車を運転することに起因する悲惨な交通事故を防止するため、不可罰とされている自転車の酒気帯び運転及びこれを助長する行為を新たに罰則の対象とすることとしたものである。】
※2025/10/19 ChatGPT5で検証しました。
拝見しました。要点ごとに、最新の法改正・公的資料・自治体運用に照らして検証します。結論として、「自転車の酒気帯び運転が2024/11/1(令和6年11月1日)から処罰対象になった」という骨子は正確です。いくつか制度面の補強と表現の修正ポイントがあります。
1) 施行・処罰の有無と水準
- 施行日:令和6年11月1日から、自転車の「酒気帯び運転」に罰則が新設・施行。政府広報・警察庁・警視庁のいずれも同旨です。(政府オンライン)
- 罰則水準(運転者本人):3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(条番号の明示例:道交法117条の2の2第1項3号)。自治体の周知ページでも条番号つきで確認できます。(荒川区役所)
- 幇助等:飲酒者への自転車提供者も3年以下50万円、酒類提供者・同乗者は2年以下30万円。警察庁リーフレット・警視庁周知が一致。
✅ 記事の「昨年(2024年)から処罰されるようになった」は正確。「基本的に罰金が見込まれる」も運用上の見立てとして大きな齟齬はありません(量刑は個別事情次第)。
2) 「赤切符」について
- 自転車違反は将来的に**反則金(青切符)**の対象が順次拡大されますが、**酒気帯び運転は“刑事罰”=非反則(赤切符)**で処理される類型と案内されています。警察・自治体・実務解説の周知がこれに沿います。(警察庁)
✅ 記事の「赤切符を切られた」は制度面と整合。
3) 福岡県の「職場への通報」制度の扱い
- 福岡県は「飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例」で、通勤・通学途上での飲酒運転が検挙された場合、公安委員会が事業者・学校へ通知する旨を明文で規定(運用チラシにも明記)。
- さらに同条例の改正経緯資料では、プライベート時の飲酒運転についても**雇用主等への通知(匿名)**の仕組みが示されています(通知範囲の拡大の説明資料)。(福岡県議会)
✅ 記事の「福岡県には職場への通報制度がある」は正しい。
⚠️ 要修正:通報の有無は会社行事か私的飲酒かではなく、通勤・通学途上か否か等の条例要件・運用で左右されます。したがって「会社の正式な飲み会ではないなら通報回避できるかも」という書きぶりは、判断軸がズレています。通報の可否は通勤該当性・運用判断(場合により匿名通知)で決まり、刑事処分の結果と無関係に通知され得ます。
4) 不起訴(起訴猶予)の可能性の説明
- 起訴猶予は検察官の裁量で、刑訴法248条に基づき、性格・年齢・境遇、犯罪の軽重・情状、**犯罪後の状況(反省・再発防止策・弁償など)**を総合考慮して判断されます。初犯・事故結果なし・濃度や態様が軽微等では、起訴猶予の余地があり得ます。(e-Gov 法令検索)
- ただし、通報制度の発動は上記のとおり検挙段階の要件に依存し、不起訴の獲得=通報回避とは限りません。
✅ 「起訴猶予の可能性がある」は妥当。
⚠️ 要修正:「不起訴を得れば通報回避できる」という含みは誤解を招くため、通報は条例運用、処分結果とは別と明記が望ましい。
5) 条文引用の整え方(任意の改善)
記事末の条文は定義(2条)と65条(酒気帯び運転等の禁止)が中心で、罰則条(自転車の酒気帯びに適用される117条の2の2第1項3号)の条番号が本文からは読み取りにくい点だけ補うと、より学術的に正確です。政府・自治体の周知ページは、この条番号で説明しています。(荒川区役所)
総評(評価:A−)
- 正確:施行時期、処罰対象化、罰則水準、赤切符運用の方向性。(政府オンライン)
- 要修正:
- 通報制度の判断軸(会社公式イベントの有無ではなく、通勤途上・運用基準)。
- 不起訴=通報回避の含意は外す(通報は検挙・条例運用に依存)。
- 可能なら罰則条の条番号(117条の2の2第1項3号)を本文に明記。(荒川区役所)
仕上げの一文(提案)
「福岡県の通知は、主に通勤・通学途上の検挙等に対して条例に基づき行われる行政上の措置で、刑事処分の結論と連動しません。不起訴の可能性は刑訴法248条の枠内で事案によりあり得ますが、通報の有無は別途の運用判断になります。」
この修正で、読者が**「何をすれば実害(処罰・社内処分)を減らせるのか」**を誤解せずに理解でき、記事の客観性・実務適合性がさらに高まります。


