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薬院法律事務所

刑事弁護

大麻所持事件で執行猶予中の再犯、再度の執行猶予が得られないかという相談(大麻、刑事弁護)


2026年01月24日刑事弁護

※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

 

【相談】

Q、私は、福岡市に住む40代男性です。以前大麻所持で執行猶予付判決を受けていたのですが、執行猶予期間中にまた大麻に手を出してしまい、大麻施用罪で起訴されました。刑事事件に詳しい知人に聞いたところ「再度の執行猶予」という制度があるようですが、薬物事件でも認められるのでしょうか。

A、理論上はあり得ますが、現実的には無理と考えられます。違法捜査の有無の確認や、一部執行猶予付判決を求めて刑務所への服役期間を減らすといった弁護活動になると考えられます。

 

【解説】

 

裁判所が再度の執行猶予をつけるか否かについては、犯罪の情状として考慮されるべき要素を考慮して、実刑ではなく、保護観察付の執行猶予にすべきだといった事情があるかどうかが判断されます。犯罪自体の情状(犯情)はどうか(動機、犯行態様、結果)、被告人の属性はどうか(前科、前歴、年齢、性格)、余罪の有無、犯行後の情状(被害弁償、謝罪、被害者が許したか否か)、刑事政策的考慮(更生可能性)といったことの総合判断です。

もっとも、覚醒剤取締法違反の再犯事件に関する再度の執行猶予は、統計上絶対的な例外とされているようです。そのため、麻薬及び向精神薬取締法違反で規制されるようになった、大麻の再犯事件についても、事実上無理ということが予測されます。あり得るとすれば、執行猶予期間満了直前で、反社会的勢力から脅されて断り切れずに購入したといった特別な事情が立証できるような場合に限られると思います。

 

※刑法

(刑の全部の執行猶予)
第二十五条
2 前に拘禁刑に処せられたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者が二年以下の拘禁刑の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときも、前項と同様とする。ただし、この項本文の規定により刑の全部の執行を猶予されて、次条第一項の規定により保護観察に付せられ、その期間内に更に罪を犯した者については、この限りでない。

https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045#Mp-Pa_1-Ch_4-At_25

 

【参考文献】

 

川出敏裕ほか「座談会 執行猶予の現状と課題」論究ジュリスト14号(2015年夏号)4-30頁

【小池池信太郎 ここ5年ほどの検察統計で, 第1審の刑法25条2項による執行猶予, つまり再度の執行猶予の件数を見ますと,過失致死傷は,例年,5件前後にすぎません。何らかの罪で執行猶予判決を受け,猶予期間中に過失犯を犯して公判請求される場合自体が少ないのでしょう。
圧倒的に多いのは窃盗で,各年100件から130件くらいです。各年の刑法犯の再度猶予の7割くらいを占めます。薬物事犯は明らかに少ないという印象で,覚せい剤取締法違反による再度猶予は, 各年数件にとどまります。
同じく絶対数の多い窃盗と覚せい剤事犯で,再度の猶予は,前者では例外的とはいえ, それなりにはあり,後者ではまさしく絶対的例外であるという傾向の違いがあることになります。】(24頁)

https://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641213142

 

大麻所持・自己使用事件弁護要領

令和4年刑法改正を踏まえた、再度の執行猶予判決を獲得するための弁護活動