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薬院法律事務所

刑事弁護

会社員の夫が痴漢で逮捕されたので、早期に釈放して欲しいという相談(痴漢、刑事弁護)


2018年07月20日読書メモ

※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

 

【相談】

 

Q、私は、福岡市で30代の夫と二人暮らしをしている専業主婦です。先ほど夕食の準備をしていると、警察から連絡があり、夫が帰り道の電車内で痴漢をしたということで捕まったと聞きました。本人と会えないし、今後どうすれば良いのかわかりません。とにかく本日中に釈放しで欲しいのですが、どうすれば良いでしょうか。捕まったままだと会社に知られて大変なことになると思います。どういう弁護士さんを選べばいいのかもわかりません。

A、早急な対応を求めるのであれば、弁護士事務所に連絡をしてすぐに接見に行ってくれる弁護士を探すことです。留置の必要性がないということで釈放されるパターンもなくはないので、それを狙うために動く弁護士さんを選任することです。仮にそれが認められなくても、勾留を阻止することは考えられます。

 

【解説】

こういった場合には、まず「留置の必要性がない」ということで当日中に釈放してもらえないかを狙うことになります。弁護士事務所選びの段階で、問い合わせでこの方針について言及しない弁護人は選ばないことが大事です。この方針をとる場合はスピードが特に重要なので、身元引受人の方とは警察署で落ち合うなどの方法をとることになります。

「留置の必要性がない」として、逮捕後すぐに釈放されることがあります

仮に、警察段階での釈放が出来なかった場合は、検察官と交渉して勾留請求を回避する、裁判官と交渉して勾留請求を却下するという方向で進めます。

 

刑事訴訟法では、被疑者が定まった住居を有しない時、罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき、逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき、に被疑者を勾留できると定めています。ご相談の事例では、後の二者が問題になります。この要件を満たすか否かについては、弁護人がどういった弁護活動をするかによって変わりますので、弁護人選びが重要になります。

 

刑事訴訟法

https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131

第六十条 裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
一被告人が定まつた住居を有しないとき。
二被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

第二百七条前三条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。但し、保釈については、この限りでない。

 

【参考リンク】

裁判手続 刑事事件Q&A

https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_keizi/index.html

Q、勾留とは何ですか。

A、勾留は、身柄を拘束する処分ですが、捜査段階での被疑者の勾留と、起訴後の被告人の勾留とがあります。

(1) 被疑者の勾留
検察官が、逮捕に引き続き、捜査を進める上で被疑者の身柄の拘束が必要であると判断した場合には、裁判官に勾留請求をします。裁判官は、被疑者が罪を犯したことが疑われ、かつ、証拠を隠滅したり、逃亡したりするおそれがあり、勾留の必要性があるときには、勾留状を発付します。
なお,最近10年間の勾留請求事件の処理状況については,こちらをご参照ください(PDF:72KB)PDFファイル
被疑者の勾留期間は10日間ですが、やむを得ない事情がある場合は、検察官の請求により、裁判官が更に10日間以内で勾留期間の延長を認めることもあります。