接見禁止中の被疑者に、司法修習生が接見できるかという相談(刑事弁護)
2018年07月20日刑事弁護
※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
【相談】
Q、私は、司法修習生です。弁護修習で、接見禁止がついている被疑者の接見に同席しようとしたのですが、留置係からダメといわれました。不当ではないでしょうか。
A、接見禁止中の被疑者については、同席を認めないという運用もあるようです。ただ、大事な勉強ですので、指導担当と相談して接見禁止の一部解除を求めるといいと思います。
【解説】
司法修習生が、接見禁止中の被疑者との接見に同席出来るかという論点があります。弁護士としては当然同席を求めますが、許可が必要といってくる留置施設もあるようです。
刑事訴訟法
https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131
第八十条 勾留されている被告人は、第三十九条第一項に規定する者以外の者と、法令の範囲内で、接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。勾引状により刑事施設に留置されている被告人も、同様である。
第八十一条 裁判所は、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求により又は職権で、勾留されている被告人と第三十九条第一項に規定する者以外の者との接見を禁じ、又はこれと授受すべき書類その他の物を検閲し、その授受を禁じ、若しくはこれを差し押えることができる。但し、糧食の授受を禁じ、又はこれを差し押えることはできない。
【参考文献】
安東章(千葉地方裁判所判事)「104接見禁止等の一部解除」高麗邦彦・芦澤政治編『令状に関する理論と実務Ⅰ(別冊判例タイムズ34号)』(判例タイムズ社,2012年8月)231-232頁
「接見禁止中の被疑者(被告人)と弁護人が接見する際の司法修習生の同席について、接見等禁止の一部解除が必要か。
前提として、接見等禁止が付されていない被疑者(被告人)との接見についてみると、弁護人が同行した司法修習生については、一般人と異なり(刑訴法80条、刑事施設収用法116条)、立会人なしの弁護人との接見(刑訴法39条)が一般に許されており、こうした修習生の接見への同席は、刑訴法80条に基づく「弁護人以外の者」の接見ではなく、留置機関が、司法修習の目的にかんがみ、裁量的に特に許しているものと解される。
そうすると、接見等禁止中の被疑者(被告人)と弁護人との接見への修習生の同席についても、同様に、留置機関の裁量に基づき立会人なしに行われるべきものであり、立会人の同席を原則とする「弁護人以外の者」の接見の一部解除の問題ととらえるべきではない。
実務もこのような考え方に基づいて運用されており、ただ、接見等禁止が付されていない場合には包括的にこれを許すのに対し、接見等禁止中の被疑者(被告人)にあっては、事案によっては罪証隠滅につながりかねないことから、個別的に、検察官、裁判所(裁判官)の同意を得る扱いがとられているようである(研修時報40巻52号、新関ほか・前掲(※増補令状基本問題(下))152頁【岩瀬】)。」