埼玉県迷惑行為防止条例第2条の2(卑わいな行為の禁止)の解説・痴漢・盗撮行為

下書きはchatGPTo1 proに作成してもらいました。加筆した部分を赤字にしています。

以下では、埼玉県迷惑行為防止条例第2条の2（卑わいな行為の禁止）について、条文の構造・趣旨・具体的な内容などを、他自治体の迷惑防止条例の解説スタイルと同様に詳しく解説します。本条は、埼玉県が公衆を著しく迷惑させる卑わいな行為、特に盗撮や痴漢行為などを包括的に取り締まるために設けられた重要な規定となっています。

1. 第2条の2の位置づけと目的

1.1 条例全体の目的

• 本条例は、公衆に著しく迷惑をかける“暴力的不良行為等”を防止して県民生活の平穏を保持することを目的とします（第1条）。
• 従来の「粗暴行為の禁止」（第2条）などに加え、さらに細分化して卑わいな迷惑行為を取り締まるために条文が補強・改正されてきました。

1.2 第2条の2の趣旨

• 痴漢行為や盗撮行為など、公衆の場面での性犯罪的行為を包括的に規制するための規定です。
• 今日では、カメラ機能付き携帯電話や小型カメラの普及により、盗撮被害が増加している状況を踏まえ、撮影目的で“カメラを向ける・設置する”段階から違反とすることで、未然に防止する点も大きな特徴です。

2. 条文構成・解説の概要

第2条の2
「何人も、正当な理由がないのに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であって、次に掲げるものをしてはならない。」

• 第1項：「下着・身体の撮影行為」や「のぞき見」を禁止
• 第2項：「公共の場所等での身体への直接・間接の接触(痴漢)」や卑わいな言動を禁止

3. 第2条の2第1項：下着又は身体の撮影行為等の禁止

3.1 第1項の文章

第一項
「次に掲げる場所又は乗物にいる人の通常衣服で覆われている下着又は身体を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置すること」「人の下着又は身体をのぞき見し、又は衣服等を透かして見ることができる機器を用いて見ること」が禁止される。

3.2 規制対象の場所又は乗物

1. イ：住居、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいる場所
   • 例：自宅の浴室、更衣室、トイレ等のプライベート空間。ここでのぞきや撮影をすると違反。
   • 私的空間での「のぞき見」行為を条例で規制できるかは一つの論点です。
   • 埼玉県警察本部生活安全部「埼玉県迷惑行為防止条例の解説(改訂版)(全89頁)」(2021年4月)23頁では【2 本条の趣旨
     第2条の2は、刑法の暴行、強制わいせつに至らない程度の卑わいな行為を規制し、痴漢又は盗撮をはじめとした行為を未然に防止することにより、県民生活の平穏という社会的法益を保護するものである。
     令和2年の一部改正では、違反行為について、これまで卑わいな言動として例示されていた痴漢、盗撮のほか、のぞき見、写真機等を向ける等の卑わいな行為を類型化するとともに、写真機等の設置が違反行為に加えられた。また、盗撮行為等の規制場所は、これまで公共の場所又は公共の乗物に限られていたが、①住居、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいるような場所、②公共の場所又は公共の乗物（①に該当するものを除く。）及び③学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出人りする場所又は乗物（①又は②に該当するものを除く。）に拡大した。
     これは、近年の撮影機能付きスマートフォンの急速な普及、撮影機器の高機能化及び小型化に伴い、盗撮行為等が公共の場所又は公共の乗物以外の場所でも行われているなど、盗撮行為等の巧妙化や、盗撮された画像データは、半永久的に記録され、インターネット上に流出するおそれがあるほか、個人の特定が可能な場合もあるなど、その影響の深刻化を踏まえ、盗撮行為等に対する抑止力の強化を図ったものである。】とされており、「のぞき見」まで規制することにした趣旨は不明です。

軽犯罪法違反事件の弁護要領・第23回 軽犯罪法1条23号（軽犯罪法、刑事弁護）

【判例時報賞応募論文】「性的盗撮規制の最前線－軽犯罪法の窃視罪と，迷惑防止条例の相克－」(2019年2月)

1. ロ：公共の場所又は公共の乗物（イに該当するものを除く。）
   • 例：駅構内、電車、バス、商業施設、路上など。不特定多数が利用する空間全般。
2. ハ：学校、事務所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用・出入りする場所又は乗物（イ又はロ除く）
   • 例：学校の教室や職場、タクシーなど、公共空間でないが多人数が利用・出入りできる準公共空間。

3.3 「写真機等を用いた撮影」とは

• スマートフォン、デジタルカメラ、ビデオカメラ等のあらゆる撮影機器。
• **「衣服等を透かして見ることができるもの」**を含み、赤外線機能や特殊カメラを用いた盗撮行為なども対象。
• **「撮影行為」**だけでなく、撮影目的でカメラ等を向けたり、設置する行為も違反。

3.4 「のぞき見」及び「衣服等を透かして見る機器」の規制

• 「のぞき見」は直接目で見る行為。肉眼で隙間をのぞく等を含む。
• 透視カメラや赤外線装置などを用いて、衣服の下の下着や身体を透かして見ることも規制し、抜け道を塞ぐ。

3.5 「正当な理由がないのに」

• 医療や防犯などの業務上やむを得ない撮影といったケースを除外する趣旨。
• 個人の性的好奇心・娯楽目的の撮影は「正当な理由」とは認められない。

4. 第2条の2第2項：公共の場所・乗物での痴漢や卑わいな言動の禁止

4.1 区分

(1) 「衣服等の上から又は直接人の身体に触れること」

• いわゆる痴漢行為（直接的・間接的に身体へ触れる）を指す。
• 「上から触れる」＝服の上から胸や尻などを触る行為も禁止対象に。
• 「直接触れる」＝例えば肌に直接触る。
• 「正当理由がないのに…」とあるため、治療や介護など正当性のある場合は除かれる。

(2) 「卑わいな言動をすること」

• 「卑わいな言動」＝性的羞恥心を煽る・不安を覚えさせる卑わいな言葉・動作。
• 例：公衆の面前でわいせつな言葉を繰り返す、露出、性的な動作等。
• 第1項に該当しない場合であっても、本項でカバーされる行為がある。

4.2 規制対象場所

• **「公共の場所又は公共の乗物」**に限定。
  • 駅構内、道端、電車、バス等、不特定多数が利用する空間での痴漢・卑わい行為を禁止。

4.3 規定の範囲

• 「公共の場所又は公共の乗物」での触れる・卑わい言動を包括規制。
• 第1項との住み分け：第1項では「盗撮・のぞき見」中心、第2項では「身体接触・卑わい言動」中心。

5. 全体的留意点

1. 「正当な理由がないのに」
   • 第1項・第2項いずれも正当性を欠く行為のみ違反となる。
2. 常習犯の加重処罰
   • 条例第12条以下の罰則規定で、常習として本条違反を行った場合は懲役刑・罰金が加重される。
3. 刑法・他の法令との併用
   • 刑法の強制わいせつ罪、軽犯罪法ののぞき罪などと併存し得る。
   • より重い刑法が適用される場合もあるが、即時対応や取り締まりでは本条例がスピーディに適用されるメリットあり。

6. 違反した場合の罰則（概要）

• 条例第12条
  • 第2条の2第1項第一号に違反して下着や身体を撮影した場合：1年以下の懲役又は100万円以下の罰金。（常習⇒2年以下の懲役又は100万円以下の罰金）
  • 第2条の2第1項第二号、第2項違反（撮影準備行為や痴漢行為、卑わい言動）は第12条第2項等に該当し、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金。（常習⇒1年以下の懲役又は100万円以下の罰金）
• このように、「撮影を実行した」か「撮影目的でカメラを向けた」かなどで処罰内容が異なる。
• 下着や身体を実際に撮影したケースが特に重く扱われ、懲役または高額な罰金の可能性がある。

7. 本条の特長と意義

1. スマートフォン等の小型撮影機器による盗撮対策
   • 「撮影する目的で写真機等を向ける」段階から違反とし、未然の防止を図る。
2. **「衣服を透かして見ることができる機器」**を明示し、ハイテク盗撮手法にも対応
   • 特殊カメラや赤外線スコープといった機器を含め、のぞき・撮影を広範に取り締まる。
3. 痴漢行為（身体への直接接触）と卑わいな言動を包括
   • 1項が「撮影・のぞき」、2項が「身体接触・卑わい言動」と、卑わい行為を2つの観点からカバーし、不備をなくしている。

8. まとめ

• 埼玉県迷惑行為防止条例第2条の2は、痴漢行為、盗撮行為等の卑わいな迷惑行為を包括的に禁止する中心規定です。
• 盗撮行為については、身体や下着を実際に撮影しただけでなく、「撮影目的でカメラを向ける・設置する」行為、さらには「衣服を透かして見る機器を使用する」行為まで禁止し、幅広い取り締まりを可能としています。
• 埼玉県警察本部生活安全部「埼玉県迷惑行為防止条例の解説(改訂版)(全89頁)」(2021年4月)25頁【※ 衣服を着用した状態の容姿は、第三者に見られることを前提としていることから、「下着」にも「身体」にも当たらない。
  ※ 水着は、当該容姿が第三者に見られることを前提としており、衣服と同一視できることから、「下着」にも「身体」にも当たらない。
  ※ ファッションの一環として着用している、いわゆる「見せパン」については、これを着用している者が、第三者に撮影されること等を容認していることが明らかな場合であっても、盗撮等の対象（この場合はパンティー）が「通常衣服等で覆われている下着又は身体」に該当する限り、本項違反が成立する余地がある。】
• 痴漢行為（身体への直接・間接接触）や公衆に対する卑わいな言動も厳しく規制され、プライバシー侵害や性的羞恥心を害する行為から県民の平穏な生活を守ることが、本条の重要な役割です。

以上が「第2条の2」についての詳細な解説です。この条文は令和2年条例改正時に盛り込まれた内容が大きく（令和2年条例54号）最新情勢に対応しており、違反した場合には他の条文（罰則規定）との関係で厳しく処罰される可能性があります。

下着盗撮事件弁護要領（性的姿態等撮影罪・迷惑防止条例）

不同意わいせつ罪と、痴漢(迷惑行為防止条例違反)との分水嶺(痴漢、刑事弁護)

性的姿態等撮影罪（未遂）と、迷惑行為防止条例違反（卑わいな言動）、軽犯罪法違反（つきまとい）の分水嶺

埼玉県迷惑行為防止条例

https://en3-jg.d1-law.com/cgi-bin/saitama-kenhoki/D1W_resdata.exe?PROCID=100955796&CALLTYPE=1&RESNO=42&UKEY=1737268842797