広島県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例第3条(卑わいな行為の禁止)の解説・痴漢・盗撮行為

下書きはchatGPTo1 proに作成してもらいました。加筆した部分を赤字にしています。

以下では、広島県「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」第3条（卑わいな行為の禁止）を中心に、これまでの解説スタイルを踏襲しながら詳細かつ分量多めに説明します。痴漢行為、盗撮、衣服を透かす撮影など、公共空間や半公共空間などで行われる性犯罪的迷惑行為をどのように取り締まり、被害者の安心を守ろうとしているのか、条文の構造や具体的な注意点を順を追って見ていきましょう。

1. 第3条（卑わいな行為の禁止）の位置づけと特徴

(1) 条例全体における目的

• 本条例（昭和三十八年七月一日条例第十五号）は、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等」を防止し、県民の日常生活の平穏を保持することを目的として制定されました（第一条）。
• その中でも第3条は、痴漢行為・盗撮・透かし撮り・卑猥言動などを取り締まる中核条文といえます。時代の要請に合わせて改正が重ねられ、社会的に問題となる性犯罪的迷惑行為に対応できるよう整備されています。

(2) 保護法益

• 第3条が想定する行為は、被害者の性的プライバシーや身体的自由を深刻に侵害し、大きな精神的苦痛や恐怖心を与える可能性が高いものです。
• 痴漢や盗撮が実際に頻発する公共交通機関や商業施設などにおいて、本条によって早期摘発を可能とし、被害を未然に防止する意義が大きいといえます。

2. 第3条第1項

（第3条第1項）
「何人も、公共の場所又は公共の乗物における他人に対し、みだりに、著しく羞恥又は不安を覚えさせるような次の各号に掲げる行為をしてはならない。」

(1) 規制対象となる場所

• 公共の場所: 道路、公園、広場、駅、空港、桟橋、興行場、飲食店など、幅広く不特定または多数の者が利用可能な場所。
• 公共の乗物: 汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機など、多くの人が乗降できる乗物。

公共空間での行為は被害が多発しやすく、周囲にも迷惑が及ぶため、条例で特に重点的に取り締まります。

(2) 禁止行為（第1項各号）

1. 一号: 衣服等の上から、又は直接他人の身体に触れること
   • いわゆる「痴漢行為」。
   • 満員電車やバスなどで臀部・胸などを触る、身体を押し付ける行為を念頭に置き、被害者に強い羞恥や不安を抱かせる。
2. 二号: 衣服等で覆われている他人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影すること
   • のぞき見・盗撮行為の基本型。
   • スマホやカメラ、あるいは鏡などを用いて他人の下着や身体を覗いたり撮影したりする行為が該当。
3. 三号: 写真機等を使用して衣服等を透かし、裸体若しくは下着の映像を見、又は裸体若しくは下着を撮影すること
   • “透視”行為を明示的に規制。赤外線フィルターや特殊レンズを用い、衣服を透かして身体や下着を視認・撮影する悪質行為に対応。
   • 近年の技術発達に合わせた条文といえる。
4. 四号: 第2号に掲げる行為（のぞき見・撮影）をする目的で写真機等を向け、又は設置すること
   • 盗撮などを未遂・準備段階で規制。
   • 実際の撮影前にカメラを向けただけでも違反となり、早期摘発が可能。
5. 五号: 前各号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること
   • 接触や撮影以外にも、人に**“卑猥な言葉やジェスチャー”**を与え、深い羞恥や不快感を抱かせる行為を包括的に規制。

(3) 「みだりに、著しく羞恥又は不安を覚えさせるような方法で」

• 被害者が“普通に考えて大きな羞恥心や恐怖を感じるか”という社会通念上の判断が重要。
• 医療行為や介助など、正当な理由のある接触は除外されるが、故意に行われる痴漢や盗撮行為にはまず該当しない。

(4) 典型事例

• 満員電車で臀部・胸を触る痴漢
• バッグ内にスマホを仕込み、スカート内を盗撮
• 赤外線カメラで透かし撮り
• 公共空間で性的な侮蔑発言を繰り返す

3. 第3条第2項

（第3条第2項）
「何人も、学校、事務所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物…における他人に対し、みだりに、著しく羞恥又は不安を覚えさせるような前項第二号から第四号までに掲げる行為をしてはならない。」

(1) 適用対象の拡張

• 第1項が公共空間（公共の場所・乗物）を対象にしたのに対し、第2項は**「学校、事務所、タクシー」など特定または多数が利用するが公共ではない空間**も含む。
• 社会的に盗撮被害が多い職場や学校の教室、貸切バスやタクシーといった場所を別途カバーしている。

(2) 禁止される行為

• 第1項の第二号～第四号が該当。（つまり「のぞき見・撮影」「透かし撮り」「撮影準備行為」）
• 痴漢行為（第一号）や卑猥言動（第五号）はここでは対象外。ただし、そちらも別の規定で対応可能な場合がある。

(3) 典型事例

• 職場の事務所で同僚の下着を撮影
• 学校の教室でスカート内を透かし撮り
• タクシー車内で運転手や乗客を盗撮しようとカメラを向ける

4. 第3条第3項

（第3条第3項）
「何人も、住居、浴場、更衣室、便所その他の人が通常衣服等の全部又は一部を着けないでいるような場所…における他人に対し、みだりに、著しく羞恥又は不安を覚えさせるような第一項第二号から第四号までに掲げる行為をしてはならない。」

(1) “衣服等の全部又は一部を着けないでいるような場所”

• 住居、浴場、便所、更衣室など、プライバシー度合いが非常に高く、裸・半裸の状態になりやすい場所を想定。
• 第2項でカバーしきれない「私的空間」における盗撮やのぞき行為に対応します。

(2) 禁止行為

• 第1項第2号～第4号に相当する「のぞき見・撮影」「透視撮影」「カメラ設置行為」を禁止。
• 衣服を脱いだ状態の人を対象とするため、被害の深刻性が特に高いと見なされる。
• 上記のchatGPTの解説は誤りで、広島県迷惑防止条例の特徴は「衣服を着ていても」撮影行為やのぞき見が条例違反とされることです。
• 広島県警察本部生活環境課「改正広島県迷惑防止条例逐条解説書(令和4年改正版)(全100頁)」(2022年6月)23頁
• 【(34) 「人が通常衣服等の全部又は一部をつけないでいるような場所」とは，社会通念上，一般通常人が性的羞恥心から他人に見られたくないため隠している肉体の部分を露出していることが十分予想される場所のことを意昧する。ここでいう「人」とは「一般人」のことを指す。
  代表的な場所は，例示の「住居」「浴場」「更衣室」「便所」であり，その他として，病院の診察室や処置室，商業施設の授乳室，マッサージやエステの施術室が予想される。また，ホテルや旅館の客室，寝台列車の寝台，キャンプ場のテント内，キャンピングカーの居住スペースなとも，衣服を脱ぐことが十分に予想される場所であることからこれに該当する。「女子トイレ個室内で，服を善たまま化粧をしている者」「自宅のリビングで，服を着ている者」が存在している場合盗撮する目的で写真機を向け，又は設置した場合は違反が成立する。これは当該行為が明らかに通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいる者の姿態を撮影しようとする法益侵害の著しい行為であり，当該場所を利用する者の具体的危険を防止し，行動意思の自由を保護する上で，着替え等の前後についても保護する必要があることから．衣服を脱いでいないような姿態であっても規制される。】
• 条例の解説では盗撮行為について説明していますが、条例の条文は「みだりに，著しく羞恥又は不安を覚えさせるような第一項第二号から第四号までに掲げる行為をしてはならない。」であるため、「のぞき見」行為であって、服を着ていても成立することになります。これは軽犯罪法1条23号の上乗せ規制として違法にならないかは重大な問題になるでしょう。一定の場合は「著しく羞恥又は不安を覚えさせるような」の要件が欠けるとして条例違反としない取扱いがされることが考えられますが、不公平な運用になる可能性があります。

軽犯罪法違反事件の弁護要領・第23回 軽犯罪法1条23号（軽犯罪法、刑事弁護）

【判例時報賞応募論文】「性的盗撮規制の最前線－軽犯罪法の窃視罪と，迷惑防止条例の相克－」(2019年2月)

(3) 典型事例

• 住居の窓を外から覗き込み、入浴中の人を撮影
• 浴場や更衣室で隠しカメラを設置
• トイレ個室にスマホを差し入れて撮影を試みる

5. 全体的構造の意義

1. 公共の場・乗物（第1項）だけでなく、
2. 特定または多数が利用する場所・乗物（第2項）、
3. 衣服を脱ぐ可能性のある私的空間（第3項）
   と段階的に網を広げ、痴漢や盗撮行為を多角的に取り締まれるように構成しています。

(1) 「撮影準備行為」も対象

• 各項目では「他人を撮影する目的で写真機等を向け、又は設置する」段階でも違反となり得るため、未然摘発が可能。

(2) 「透かし撮り」への対応

• 第1項第三号などで、衣服を透かして撮影・録画する行為が明確に禁止されており、技術発展による新種の盗撮にも対応しています。

(3) “みだりに、著しく羞恥又は不安を覚えさせるような方法”

• 行為態様が社会通念上「正当化できない」かつ「被害者に強い羞恥・不安を与える」と判断されれば条例違反となり、救急や介助など正当な理由を除外している点が特徴的です。

6. 罰則と運用

• 第15条第一項により、「第三条の規定に違反した者」は6月以下の懲役又は50万円以下の罰金とされ、常習の場合は上限が引き上げられます（1年以下の懲役又は100万円以下の罰金など）。
• 条例違反でも有罪になれば刑事上の前科となり、社会生活に大きな影響を及ぼします。
• 場合によっては刑法や「性的姿態等撮影罪」（令和5年施行）との競合も考えられますが、比較的軽微な事案や準備段階などで条例が活用される面が大きいと言えます。

7. まとめ

1. 広島県「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」第3条は、痴漢・盗撮・のぞき見・透かし撮り・卑猥言動など、性犯罪的迷惑行為を網羅的に規制する中心条文。
2. 公共空間から半公共空間、さらに衣服を脱ぐ可能性のある場所（住居、浴場、更衣室等）に至るまで、被害者の身体的プライバシーが侵害される幅広いシチュエーションをカバーする。
3. 撮影準備行為（カメラを向ける・設置）や透かし撮りも明示的に取り締まり、技術発展による新しい盗撮手口にも対応。
4. 罰則は6月以下の懲役又は50万円以下の罰金（常習加重あり）など厳しく、本条例違反でも前科が付くため、その社会的影響は軽視できない。
5. 国の法令（刑法や「性的姿態等撮影罪」）では対応しきれない軽微・未遂段階の卑わい行為を取り締まり、被害を未然に防ぐ狙いが大きい。

総じて、第3条は「公共の場所・乗物」での典型的痴漢行為や盗撮だけでなく、職場や学校など半公共空間、浴場・更衣室など衣服を脱ぐ空間まで対象を広げ、多様化・悪質化する性犯罪的迷惑行為に対処するための規定として重要な役割を果たしています。

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広島県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例

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