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薬院法律事務所

刑事弁護

三重県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例第2条2項(卑わいな行為の禁止)の解説・痴漢・盗撮行為


2025年01月16日刑事弁護

下書きはchatGPTo1 proに作成してもらいました。加筆した部分を赤字にしています。

以下では、三重県迷惑行為等防止条例 第2条第2項(粗野、乱暴又は卑わいな行為の禁止)の解説を、これまでのスタイルに沿って詳細に行います。第2条全体は「粗野、乱暴又は卑わいな行為の禁止」という名称で、主に公衆に不安や羞恥を与える迷惑行為を規制しています。その中でも、第2項は痴漢や盗撮などの卑わいな行為に特化した条文となっており、具体的な行為類型を列挙して幅広く取り締まる趣旨が示されています。


1. 条例全体における第2条の位置づけ

  • 本条例は「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等を防止する」ことを目的とし(第1条)、県民や滞在者の生活の平穏を保持するため、公衆の場での暴力・卑わい行為・粗暴行為等を包括的に規制しています。
  • 第2条は「粗野、乱暴又は卑わいな行為の禁止」という大きな柱で、痴漢・のぞき・卑猥言動、興行の際の混乱誘発行為、刃物の不安を与える携帯など、多面的な行為を広く取り締まります。
  • そのうち第2項は「人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法」による行為を列挙して禁止しており、典型的な痴漢や盗撮行為を中心に規制しているポイントです。
  • 三重県警察本部生活安全部生活環境課「三重県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例逐条解説(五訂版)(全100頁)」(2020年12月)6頁
  • 【第2条第2項については、小型・高性能な撮影機器の普及に伴い、公共の場所又は公共の乗物以外の場所である学校、オフィス等における裸や下着の盗撮行為が大きな問題となっていた
    ことから、それらを禁止し、処罰するなど、卑わいな行為の禁止に関する規定を整備するため改正(令和2年10月21日公布、令和3年1月1日施行)したものであり、痴漢、のぞき見、盗撮行為の規制場所の要件を外し、公共の場所又は公共の乗物以外の場所における行為についても規制対象としたものである。】

2. 第2条第2項の構造

「何人も、正当な理由がないのに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、
次に掲げる行為をしてはならない。」

(1) 「正当な理由がないのに」「人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法」

  • 「正当な理由がないのに」という要件は、医療行為や正当な業務行為(警備・捜査など)を除き、不当に身体や下着などを触ったり覗いたりすることを禁止する趣旨。
  • 「人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法」とは、被害者が実際に性的羞恥・恐怖等を感じる恐れのある態様と解されます。

(2) 規制対象となる行為類型

第2項では、(1)(3) の類型に分かれており、順に解説します。

1. 第2項第1号

「(1) 人の身体に、直接又は衣服その他の身に着ける物の上から触れること。」

  • 典型的な「痴漢行為」を想定。着衣越しであっても人の身体を触る行為はアウト。
  • 「人の身体に触れる」という文言から、直接の肌接触も、服の上からのタッチも広くカバー。
  • 正当な理由(医療・介護行為など)がない場合、相手の同意もなく身体を触れば、本号に違反するとされます。

2. 第2項第2号

「(2) 通常衣服で隠されている人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影し、若しくはその目的で
撮影機器を人に向け、若しくは設置すること。」

  • いわゆる「のぞき見」「盗撮」行為。通常の服装下に隠れている身体や下着を意図的に覗き込む、あるいは撮影する行為を禁止。
  • “のぞき見” だけでなく、「撮影し、若しくはその目的で撮影機器を向ける、設置する」行為も含む。
    • カバンやスマホを下着に向ける行為、スカート内盗撮などが該当。
    • 撮影に成功したか否かを問わず、目的をもってカメラを向けるだけでも違法となります。
  • 「通常衣服で隠されている部分」が対象となるため、肌が露出している部位を撮影する行為(一般的な街中スナップ撮影など)は対象外ですが、被害者が羞恥を感じる部分なら当てはまる余地があると解されます。

3. 第2項第3号

「(3) 前2号に掲げるもののほか、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。」

  • (1)や(2)に該当しない、その他の「卑わいな言動」を広くカバーする総括規定。
  • 典型例:わいせつな言葉を叫ぶ、卑猥な身振りや発言を繰り返すなど。
  • 但し、「公共の場所又は公共の乗物」という限定があるため、完全な私的空間での行為は対象外となる(他の条文での規制は別途あり得る)。

3. 規制目的と射程

  1. 被害者の性的プライバシー・身体の平穏を守るため、痴漢・のぞき・盗撮等を条例違反として厳格に取り締まる。
  2. 第2項は、公共の場所・乗物を大前提とするが、不特定多数が利用する空間での行為を幅広くカバー(第3号参照)。
  3. 上記のとおりchatGPTの回答は誤りで、第2条2項は3項を除いて場所的な限定はありません。
  4. 「正当な理由なく」「人を著しく羞恥させ、不安を覚えさせるような方法」であれば処罰対象となるため、行為者に「迷惑行為の意図」が明確に問われる。

4. 正当な理由

  • 医療行為、救護活動、特殊な撮影(報道・芸術等)などが挙げられるが、実際には正当化される例は極めて限定的
  • 行為者が正当な理由を主張しても、被害者が不快や不安を覚え、社会通念上も認めがたい状況であれば違反とみなされる。

5. 具体事例と判断

  1. 電車内での身体接触(痴漢)
    • 他人の腰や太もも、胸部などを衣服の上から触る → 第2項第1号違反。
  2. スカートの下にスマホを差し向けて撮影
    • 下着を「撮影」または「その目的で撮影機器を向ける」 → 第2項第2号違反。
  3. 公共の場所で大声で卑猥な言葉を叫ぶ
    • 不安・嫌悪を覚えさせる方法での「卑わいな言動」 → 第2項第3号違反。

6. 第2項と他項との関係

  • 第1項では「多数でうろつく」などの粗暴行為が規定されるが、第2項は卑わいな行為を具体的に列挙している。
  • 第3項、 第4項 もまた公共の場所での乱暴行為や刃物の不安を与える携帯を規制するが、第2項は主に痴漢・盗撮行為にフォーカス。
  • 条例全体としては、公衆に不安や羞恥・嫌悪感を与えるあらゆる行為を包括的に取り締まる形となる。

7. 罰則(関連条文)

  • この第2項に違反した行為(卑わい行為)については、第15条で罰則が定められています。
    • 第15条第1項: 「第2条第2項第1号の規定に違反した者又は同項第2号の規定に違反して撮影した者」は 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
      • つまり痴漢・盗撮(実際に撮影した場合)が最も厳しい処罰対象となっている。
    • 第15条第2項: 「第2条第2項第2号(撮影した者を除く)又は第3号の規定に違反」と「第9条第1項の規定に違反」は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金
      • つまり第2項第2号については「撮影したか否か」で処罰が分かれる。実際に撮影したなら第1項、撮影を目的として機器を向けただけなら第2項と、罰則が異なります。

8. まとめ

  • 三重県迷惑行為等防止条例 第2条第2項は、公共の場所・乗物での痴漢行為・のぞき・盗撮等を幅広く規制する中心規定で、性的プライバシーの保護や公共の場の安全を図るために制定されたものです。
  • (1)「身体に触れる」(2)「下着や身体をのぞき見/撮影」(3)「卑わいな言動」 の三つの類型が列挙され、いずれも「正当な理由がなく、人を著しく羞恥・不安にさせる方法」で行われた場合に違反となります。
  • 特に盗撮・のぞき行為については「実際に撮影成功したかどうか」にかかわらず、撮影機器を向けたり設置したり“しようとする”だけでも処罰され得るという点が注目されます。
  • 違反した場合は第15条で厳格な罰則が定められており、撮影まで完遂するとより厳しい処罰が科されるなど、痴漢や盗撮への対応が強化されています。

こうした規定を設けることで、公共空間での性的迷惑行為を抑止し、被害者の羞恥・不安を防ぐとともに、公衆が安心して生活できる社会の実現を目指しています。

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三重県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例

https://www.police.pref.mie.jp/information/021021meibou_kaisei.pdf

(粗野、乱暴又は卑わいな行為の禁止)
第2条
2 何人も、正当な理由がないのに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人の身体に、直接又は衣服その他の身に着ける物の上から触れること。
(2)通常衣服で隠されている人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影し、若しくはその目的で撮影機器を人に向け、若しくは設置すること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること

 

【参考文献】※情報公開で入手した資料は一部マスキング有

 

三重県警察本部生活安全部生活環境課「三重県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例逐条解説(五訂版)(全100頁)」(2020年12月)