京都府迷惑行為等防止条例第3条(卑わいな行為の禁止)の解説・痴漢・盗撮行為

2025年01月16日刑事弁護

下書きはchatGPTo1 proに作成してもらいました。加筆した部分を赤字にしています。

以下では、京都府迷惑行為防止条例 第3条（卑わいな行為の禁止）について、これまでの解説スタイルを踏襲しつつ条文内容を細かく掘り下げ、かつ大きめの分量でご説明します。本条は、京都府の公衆に著しく迷惑をかける行為のうち、**わいせつ行為や痴漢、盗撮行為等の「卑わいな行為」**を幅広く取り締まる根幹的な規定となっています。

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1. 第3条の位置づけと目的

(1) 条例全体における意義

• 京都府迷惑行為防止条例は「公衆に著しく迷惑をかける行為」及び「人に不安を覚えさせる行為」を広く取り締まり、府民等の平穏な生活を保持することを目的としています（第1条）。
• 第3条は、その中でも痴漢・盗撮・のぞき見・卑猥言動といった性犯罪的行為を多角的に規制し、公共空間や公共乗物、さらには私的空間（浴場や更衣室など）まで幅広くカバーする条文です。

(2) 保護法益

• 第3条が守ろうとしているのは、被害者の性的プライバシーや身体の平穏、そして「公共の場で他人を著しく羞恥させるような行為」を未然に防ぐことです。
• 刑法や軽犯罪法等ではカバーしきれないケースや、撮影準備段階やのぞき見などを広く対象にする点が、本条の特色です。

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2. 条文構造と概要

第3条の本文は長く、下記のように4つの段落（項）で構成され、それぞれが異なる空間・行為態様を規制します。

1. 第1項: 公共の場所又は公共の乗物における、他人を著しく羞恥させる等の方法でのみだりな行為の禁止
2. 第2項: 公共の場所・乗物だけでなく、事務所・教室・タクシー等の“不特定又は多数が利用する場所”での撮影行為の禁止
3. 第3項: 人が通常衣服を脱ぐような場所（住居、浴場、更衣室等）にいる人への“のぞき見・撮影”の禁止
4. 第4項: 第1～3項で言う撮影行為を行うための“撮影機器の設置・差し向け”の禁止

行為態様だけでなく、場所区分にも着目している点が特徴です。

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3. 第3条 第1項

（第3条 第1項）
「何人も、公共の場所又は公共の乗物にいる他人に対し、他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。(以下項目略)」

(1) 規制空間：公共の場所・公共の乗物

• 公共の場所: 道路、公園、広場、駅、興行場、飲食店など、不特定多数が出入りできる場所
• 公共の乗物: 電車、バス、船舶、飛行機その他、不特定多数が利用できる乗物

ここでは、いわゆる痴漢やのぞき見、卑猥な言動などが典型事例となります。

(2) 規制対象の行為

第1項では以下のように、9つの行為が列挙されています（①～⑨）。

1. (1) 他人の身体の一部に触る行為
   • いわゆる「痴漢行為」。着衣の上からであっても禁止（“着衣等の上から触ることを含む”と明記）。
2. (2) 物を用いて他人の身体に性的な感触を与えようとする行為
   • “手以外の物”を用いた痴漢行為（カバンや棒などで臀部を触る等）も明確にカバー。
3. (3) その意に反して人の性的好奇心をそそる姿態をとらせる行為
   • 被害者に強要して卑猥なポーズや姿勢をとらせる行為。
4. (4) 着衣等で覆われている他人の下着又は身体の一部をのぞき見する行為
   • スカート内を覗く、シャツの隙間を覗くなど、直接の視覚的な“のぞき行為”。
5. (5) 前号に掲げる行為をしようとして、着衣等の中をのぞき込む、鏡等を差し出す行為
   • 実際に下着が見えていなくても、見るための準備・試みをする段階で規制対象。
6. (6) 着衣等を透かして見ることができる機器を使用して、他人の下着等の映像を見る行為
   • 赤外線や特殊フィルター等を用いた“透かし撮り”にも対応。
7. (7) 異性の下着を着用した姿等の性的好奇心を刺激する姿態又は性的な行為を見せる行為
   • いわゆる“公然わいせつ”に近い態様だが、条例独自の広い規制。「他人に見せつける」イメージ。
8. (8) 人の性的好奇心をそそる行為を要求する言葉その他の性的な感情を刺激する言葉を発する行為
   • 調教命令のような性的言葉など、耳障りで不快感・羞恥感を与える言動。
9. (9) 上記に掲げるもののほか、卑わいな言動（第2項～第4項に当てはまらないもの）
   • 例として、「性的な事を露骨に叫ぶ」「周囲に卑わいなジェスチャーを行う」など。
   • “痴漢や盗撮以外”の卑猥言動が網羅される。

(3) 特徴

• 触る、見せる、言葉で強要する、透かし見る、強制的に姿態をとらせる等、多様な性的迷惑行為が列挙され、包括的にカバー。
• 「著しく羞恥させ」や「不安又は嫌悪を覚えさせるような方法」という要件を通じ、客観的・主観的両面から行為のわいせつ性を判断。

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4. 第3条 第2項

（第3条 第2項）
「何人も、公共の場所、公共の乗物、事務所、教室、タクシーその他不特定又は多数の者が出入りし、又は利用する場所又は乗物にいる他人に対し、前項に規定する方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。(以下略)」

(1) 規制空間の拡大

• 第2項は、公共空間＋“不特定又は多数が利用する場所・乗物” という範囲で、具体的には事務所や教室、タクシーなど半公共的空間も加わります。
• 撮影行為（盗撮）に焦点が当てられているため、公共空間のみならず職場や学校、タクシーといったプライバシーが相対的に弱い空間でも取り締まりを可能にしています。

(2) 規制対象となる撮影行為

• (1) 通常着衣等で覆われている他人の下着等を撮影する行為
  いわゆる“盗撮”の典型。
• (2) 上記の撮影をしようとして、着衣等の中をのぞき込む、撮影機器を向ける行為
  撮影行為の準備段階であっても処罰対象。
• (3) “透かし撮り”により映像を撮影する行為
  第1項第6号の“透かし見る”とは別に、本項で“透かし撮り”が加わる。

(3) 意義

• 第1項と異なり、「他人を著しく羞恥させ…」の文言を前提としつつも、場所対象が広がる点に注目。
• 企業の事務所や学校の教室などは半公共的な場所だが、多数の人が利用し得るため、盗撮リスクが高いという趣旨で規制対象を拡大しています。

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5. 第3条 第3項

（第3条 第3項）
「何人も、住居、宿泊の用に供する施設の客室、更衣室、便所、浴場その他人が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる他人に対し、第１項に規定する方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。(以下略)」

(1) 着衣を脱ぐ可能性の高い場所

• 住居、旅館・ホテルの客室、更衣室、便所、浴場等 は、人が下着や衣服を脱ぐ機会が大きく、盗撮・のぞき見の被害が深刻な領域。
• ここでの行為は主に「撮影行為」「撮影しようとしてカメラを向ける行為」が規定されており、被害者が裸もしくは半裸でいることを狙った盗撮やのぞき見を厳重に取り締まっています。
• 上記のchatGPTの回答は誤りで、住居など私的空間での「のぞき見」を条例で規制できるかは一つの論点です。京都府はのぞき見は外しています。

軽犯罪法違反事件の弁護要領・第23回 軽犯罪法1条23号（軽犯罪法、刑事弁護）

【判例時報賞応募論文】「性的盗撮規制の最前線－軽犯罪法の窃視罪と，迷惑防止条例の相克－」(2019年2月)

(2) 典型例

• 銭湯や温泉での浴場盗撮
• ホテルの客室に小型カメラを仕掛け、宿泊者を盗撮
• 更衣室の仕切り下からカメラを向ける …等

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6. 第3条 第4項

（第3条 第4項）
「何人も、第１項に規定する方法で第２項に規定する場所若しくは乗物にいる他人の下着等又は第３項に規定する場所にいる着衣の全部若しくは一部を着けない状態にある他人の姿態を撮影しようとして、みだりに撮影機器を設置してはならない。」

(1) “撮影機器の設置”という準備行為の規制

• 盗撮行為は既遂だけでなく、**準備段階（カメラを仕掛け・設置する）**も処罰対象とし、被害が発生する前から取り締まれるよう設計。
• のぞきや盗撮行為を「撮影機器の設置」から即摘発でき、早期防止に資する規定です。

(2) 意義

• 「撮影したかどうか」に問わず、**“撮影目的で機器を設置”**した時点で規制。
• 設置後、まだ撮影を行っていないため「未遂」であるという言い逃れを防ぎ、条例の実効性を高めています。

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7. 全体的な特徴と意義

1. 場所区分の明確化
   • 「公共の場所・公共の乗物」 → 第1項の痴漢・卑猥言動
   • 「公共の場所・乗物＋不特定又は多数が利用する場所」 → 第2項の盗撮規制
   • 「住居・宿泊施設・更衣室・浴場等」 → 第3項の盗撮規制
   • 各場所に応じて、被害態様が異なるため、項ごとに整理・区分。
2. 撮影行為だけでなく、撮影目的の“のぞき込み”や“カメラ設置”等準備行為も禁止
   • 第1項(5)や第2項(2)、第4項等により、被害が現実化する前に取り締まることが可能。
3. 卑猥行為の多彩な手口を包括
   • 触る、モノで触れる、着衣を透かして見る、撮影する、姿態を見せる、言葉で強要…等々。
   • 技術的進化（スマホカメラ、赤外線、超小型機器）にも対応できるよう明確に列挙。
4. 処罰の段階性
   • 第10条や第11条などで罰則が規定されており、行為態様や常習性に応じて懲役や罰金の量刑が変化。
   • 別途、刑法、軽犯罪法と併せて検討され、重い場合は刑法犯として立件されることもあるが、条例違反の方が立件しやすい場合も少なくない。

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8. 具体的事例・留意点

1. 満員電車での痴漢行為
   • 第2項(1)で“公共の乗物内の撮影行為”、あるいは第1項で身体に触る行為など該当。
2. カメラを床やバッグ等に仕込んでスカート内盗撮
   • 第1項(4)(5)または第2項(1)(2)に該当しうる。
   • “カメラ差し向け”や“仕掛け”の段階から摘発可能。
3. 温泉、ホテル客室などでの隠しカメラ設置
   • 第3項による明示的な規制。
   • 設置した時点や向けた時点で違反成立。
4. 赤外線フィルター等で透かし撮り
   • 第1項(6)または第2項(3)の透かしを見る/撮影する行為。
5. わいせつ言動を大声で繰り返す
   • 第1項(9)の「卑わいな言動」や(8)の「性的な感情を刺激する言葉」として該当しうる。

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9. まとめ

• 京都府迷惑行為防止条例 第3条 は、公共の場所・乗物での痴漢、盗撮行為、卑猥な言動を包括的に禁止するとともに、私的空間（浴場、更衣室、宿泊施設など）でののぞき・盗撮を厳しく取り締まる中心規定です。
• 大きな特徴として、“撮影準備”（機器を向け・設置する）や**“のぞき込み”**など、未然段階の行為も広く規制する点が挙げられます。
• 各項で場所区分を設け、発生形態に応じた詳細な規定を置くことにより、多様化・巧妙化する性犯罪的迷惑行為に対処しやすくなっています。
• 罰則は第10条等において、行為態様（撮影か、接触か、言動か等）や常習性の有無に応じて、懲役又は罰金が変動。場合によっては刑法等との併合でより重い刑事処分が科されるケースもあり、条例は迅速・柔軟に取り締まる重要な役割を果たしています。

以上が、第3条の詳しい解説です。京都府が「卑わいな行為」を広範に取り締まることで、公共空間のみならず、学校や事務所、更衣室、浴場といった様々なシーンでの性犯罪的行為を未然に防ぎ、府民等の安心・安全を守る大きな効果を狙っているといえます。

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京都府迷惑行為等防止条例

https://www.pref.kyoto.jp/reiki/reiki_honbun/a300RG00001388.html

【参考文献】※情報公開で入手した資料は一部マスキング有

 

京都府警察本部「京都府迷惑行為防止条例逐条解説」(2020年4月)※卑わいな言動部分のみ開示を受けたためページ数は不明。