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薬院法律事務所

刑事弁護

合法なCBD製品だと思っていたら大麻成分が検出された場合の対応


2026年06月20日刑事弁護

※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

 

【相談】

 

Q、私は福岡市内に住む30代の会社員です。

数か月前、インターネットでCBDリキッドを購入しました。販売ページには「合法」「THCフリー」「国内基準適合」「リラックス目的」などと書かれていました。違法な大麻を買っているつもりはまったくなく、寝る前にリラックスするためのCBD製品だと思って購入しました。

ところが、最近になって警察から連絡がありました。私が購入したCBD製品と同じ製品から、大麻成分、具体的にはΔ9-THCが検出されたということでした。警察からは、「製品が麻薬に該当する可能性がある」「まだ手元に残っているなら提出してほしい」「事情を聞きたい」と言われています。

私は、違法な薬物だと思って購入したわけではありません。販売店の説明を信じていましたし、普通のCBD製品だと思っていました。使ったときも、大麻のようなものを使っているという認識はありませんでした。

このような場合でも、大麻や麻薬の所持・使用として処罰されるのでしょうか。警察にはどう対応すればよいでしょうか。

A、まず、手元に残っている製品を使用しないでください。捨てたり、他人に渡したり、販売店に返送したり、フリマアプリやSNSで処分したりすることも避けるべきです。

CBDそのものが直ちに違法というわけではありません。しかし、現在の法制度では、製品中のΔ9-THCが残留限度値を超える場合、その製品は麻薬及び向精神薬取締法上の「麻薬」に該当する可能性があります。

そのため、「CBD製品だと思っていた」「販売店が合法と言っていた」というだけで、まったく問題にならないとはいえません。

もっとも、刑事事件として処罰されるためには、単に製品からΔ9-THCが検出されたというだけでなく、本人に薬物についての認識、すなわち故意があったかが問題になります。

この種の事件では、次のような事情が重要です。

・いつ購入したのか
・どの販売店から購入したのか
・販売ページにどのような説明があったのか
・THCフリー、国内基準適合、検査済みなどの表示があったのか
・検査証明書、COAが添付されていたのか
・製品の価格、形状、販売方法が通常のCBD製品として自然なものだったのか
・大麻に近い効果、陶酔感、いわゆる「キマる」効果を期待していたのか
・使用後に大麻様の作用を感じていたのか
・規制対象になった可能性を知った後も使用したのか
・警察から連絡を受けた後に、隠したり捨てたりしていないか

特に、販売ページに「合法」「THCフリー」「国内基準適合」といった表示があり、一般的なCBD製品として購入していた場合には、違法な麻薬を所持している認識がなかったという主張を検討する余地があります。

一方で、単に「合法と書いてあったから信じた」というだけでは不十分です。

裁判例上、薬物事犯では、対象物が特定の薬物だと明確に分かっていなくても、「身体に有害で違法な薬物類かもしれない」という概括的な認識があれば、故意が認められることがあります。また、脱法ドラッグ・危険ドラッグの事案では、「売人から合法と言われた」という弁解が当然に通るわけではありません。

したがって、本件でも、「CBD製品として購入した事情」と「危険ドラッグ的な薬物として購入したのではない事情」を、客観的資料に基づいて丁寧に整理する必要があります。

警察から連絡が来た段階で、製品、外箱、ラベル、購入履歴、販売ページ、検査証明書、販売店とのやり取りを保存し、取調べ前に薬物事件に詳しい弁護士へ相談してください。

 

【解説】

 

1 「CBD製品」と「大麻成分」は分けて考える必要があります

 

CBDとは、カンナビジオールのことです。CBDそのものは、一般に、大麻の陶酔作用と結び付けられるΔ9-THCとは異なる成分として説明されています。

しかし、CBD製品として販売されているオイル、リキッド、ワックス、グミ、カプセル、食品、電子タバコ用製品などには、製造工程、原料、抽出方法、管理体制によって、微量のΔ9-THCが残留することがあります。

現在の制度では、製品中に残留するΔ9-THCについて、製品区分ごとの残留限度値が定められています。この限度値を超えるΔ9-THCを含有する製品は、麻薬として規制される可能性があります。

つまり、問題は、「CBDと表示されているかどうか」ではありません。

実際には、

・製品中にどの成分が含まれているか
・Δ9-THCの量が残留限度値を超えているか
・いつ所持していたか
・購入者が何を認識していたか

が問題になります。

「CBDだから絶対に合法」と考えるのは危険です。

一方で、「CBD製品から大麻成分が検出された」と聞いたからといって、直ちに購入者が違法薬物事件の犯人になるわけでもありません。

刑事事件としては、客観的に規制対象成分が含まれていたかという問題と、本人がそれをどのように認識していたかという問題を分けて検討する必要があります。

 

2 製品からΔ9-THCが検出された場合に問題になる罪

 

CBD製品から残留限度値を超えるΔ9-THCが検出された場合、麻薬及び向精神薬取締法違反が問題になります。

現在、大麻については、法改正により、大麻草由来の成分についても麻薬及び向精神薬取締法の枠組みで規制される場面があります。また、大麻等の不正な施用についても罰則の対象となっています。

したがって、問題となる行為は、所持だけではありません。

事案によっては、

・所持
・使用、施用
・譲渡
・譲受
・輸入
・販売
・保管
・他人への授与

が問題になります。

購入者として特に問題になりやすいのは、自宅に残っていた製品の所持、過去の使用、海外サイトから購入した場合の輸入です。

また、製品を「危ないかもしれない」と思って友人に渡したり、販売店に返送したり、フリマアプリで売ったりすると、別の行為として問題が広がるおそれがあります。

 

3 「違法とは知らなかった」で足りるのか

 

刑事事件では、一般に「法律を知らなかった」というだけで当然に処罰を免れるわけではありません。

しかし、薬物事件では、対象物についての認識が問題になります。

たとえば、本人が、違法な麻薬を所持しているという認識をまったく持っておらず、一般に流通している合法なCBD製品だと信じていた場合、故意を否定する余地があります。

もっとも、実務上は、「知らなかった」と言えば足りるものではありません。

薬物事犯では、本人がその薬物を何だと思っていたのか、どのような効果を期待していたのか、どのような販売経路で入手したのか、価格や包装はどうだったのか、規制の可能性を疑っていたのか、使用後にどのような感覚があったのかといった事情から、故意が推認されます。

特に、裁判例では、対象物が特定の薬物だと明確に分からなくても、「身体に有害で違法な薬物類かもしれない」という認識があれば、薬物事件の故意が認められるとされています。

そのため、CBD製品の事件でも、警察や検察は、

「本当に普通のCBD製品だと思っていたのか」
「大麻に近い効果を期待していたのではないか」
「THCが含まれる可能性を知っていたのではないか」
「規制ぎりぎりの商品だと分かっていたのではないか」
「合法と表示されていても、疑わしい商品だと認識していたのではないか」

という観点から事情を確認します。

 

4 危険ドラッグ型の事案と、通常のCBD製品型の事案は違います

 

ここで大事なのは、危険ドラッグ型の事案と、通常のCBD製品型の事案を区別することです。

危険ドラッグ型の事案では、

・売人から買った
・SNSや個人間取引で入手した
・「合法ハーブ」「脱法」「飛ぶ」「キマる」などの表現が使われていた
・覚せい剤や大麻に近い効果を期待していた
・通常の商品とは異なる包装だった
・高額だった
・隠れて使用していた
・規制の有無を何度も確認していた
・薬物前科や薬物関係者とのつながりがある

といった事情があることがあります。

このような場合、「合法と言われた」という弁解だけでは、故意を否定することは難しくなります。むしろ、合法かどうかを確認していること自体が、「違法かもしれない」と思っていた事情として評価されることがあります。

一方、通常のCBD製品型の事案では、事情が異なります。

たとえば、

・国内の正規販売店から購入した
・販売ページにCBD製品として掲載されていた
・「THCフリー」「国内基準適合」「第三者機関検査済み」などの表示があった
・検査証明書が付いていた
・価格や包装が通常のCBD製品として自然だった
・大麻様の陶酔感を期待していなかった
・リラックス、睡眠、気分転換など一般的な目的だった
・使用後に大麻様の作用を感じていなかった
・警察から連絡が来るまで規制対象品とは知らなかった
・連絡後は使用せず、隠さず、資料を保全している

という事情があれば、危険ドラッグ型の事案とは違うと主張する余地があります。

弁護活動では、この違いを明確にする必要があります。

 

5 購入時の表示・販売ページ・検査証明書が重要です

 

CBD製品からΔ9-THCが検出された事件では、購入時の資料が非常に重要です。

保存すべき資料は、次のようなものです。

・製品本体
・外箱、容器、ラベル
・成分表示
・使用説明書
・購入時の販売ページ
・「合法」「THCフリー」「国内基準適合」等の表示
・検査証明書、COA
・販売店からのメール
・注文確認メール
・領収書
・クレジットカード明細
・配送記録
・販売店との問い合わせ履歴
・購入日、使用日、残量のメモ
・警察から連絡が来た日時と内容のメモ

特に、販売ページは後から削除・変更されることがあります。

警察から連絡が来た時点で、スクリーンショットやPDFで保存してください。

「合法だと思っていた」という主張は、本人の言葉だけでは弱いです。なぜ合法だと思ったのかを、購入時の客観的資料で説明できるかが重要になります。

 

6 警察から連絡が来た後にしてはいけないこと

 

警察から連絡が来た後に、焦って不適切な行動をすると、故意や証拠隠滅を疑われることがあります。

してはいけないことは、次のとおりです。

・残っている製品を使用する
・製品を捨てる
・トイレに流す
・友人に預ける
・家族に隠してもらう
・販売店に返送する
・フリマアプリやSNSで処分する
・販売店に口裏合わせを求める
・注文履歴やメッセージを削除する
・警察に事実と違う説明をする

特に、捨てる、隠す、履歴を消すという行動は危険です。

本人としては「怖くなったから」「違法なものを持っていたくなかったから」というつもりでも、捜査機関からは証拠隠滅と見られることがあります。

警察から連絡が来た場合には、まず弁護士に相談し、製品の保管方法、提出方法、警察への説明内容を整理してください。

 

7 自発的に提出すれば必ず大丈夫なのか

 

手元に残っているCBD製品について、「警察に自発的に提出すれば大丈夫ですか」と聞かれることがあります。

自発的に提出したことは、有利な事情になり得ます。少なくとも、隠したり、使い切ったり、他人に渡したりした事案とは違います。

しかし、自発的提出だけで必ず不起訴になるわけではありません。

重要なのは、

・いつ規制対象の可能性を知ったのか
・知った後に使用していないか
・隠したり処分したりしていないか
・製品がどのような経緯で入手されたのか
・購入時に合法と信じる合理的な理由があったか
・THC含有の可能性を認識していなかったか
・大麻様の効果を期待していなかったか

です。

また、規制対象品の可能性がある製品を自分で警察署に持っていく行為自体も、所持・運搬の問題と無関係ではありません。

実際に提出する場合には、事前に警察へ連絡し、提出方法を確認し、必要であれば弁護士が同行又は事前連絡をすることを検討すべきです。

 

8 尿検査で大麻成分が出た場合

 

CBD製品を使用していた方について、尿検査でTHC関連成分が検出されることがあります。

この場合、警察は、大麻を使用したのではないかと疑うことがあります。

しかし、本人が使用していたのがCBD製品だけであり、その製品に残留限度値を超えるΔ9-THCが含まれていた可能性がある場合には、尿検査の結果だけで、違法な大麻を使用する認識があったと決めつけることはできません。

問題になるのは、

・使用した製品が何か
・製品にΔ9-THCが含まれていたか
・どの程度の量、頻度で使用していたか
・本人がTHC含有を認識していたか
・大麻そのものを別途使用していないか
・使用時期と尿検査時期の関係
・販売店の表示や検査証明書
・本人が使用によって大麻様作用を感じていたか

です。

尿検査で陽性が出た場合、焦って「CBDなので関係ありません」と断言するのではなく、使用していた製品を特定し、購入資料とともに弁護士へ相談してください。

 

9 取調べで注意すべきこと

 

警察の取調べでは、次のような質問を受けることがあります。

「CBDと大麻の違いを知っていましたか」
「THCという言葉を知っていましたか」
「THCフリーと書いてあったのを見ましたか」
「多少THCが入っているかもしれないと思いませんでしたか」
「使用したときに気分が変わりましたか」
「大麻に近い効果を期待していましたか」
「販売店が合法と言っていたから買ったのですか」
「合法かどうか不安だったから確認したのではないですか」
「警察から連絡が来た後、なぜすぐ提出しなかったのですか」

ここで、あいまいな記憶のまま不用意に答えることは危険です。

特に、

「少しくらいTHCが入っているかもしれないとは思っていました」
「規制ぎりぎりの商品だとは思っていました」
「大麻っぽい効果があると思っていました」
「合法ならラッキーだと思いました」
「違法かもしれないけど、販売店が大丈夫と言うので買いました」

といった表現は、故意を認めたように受け取られる可能性があります。

もちろん、嘘をついてはいけません。

しかし、当時の認識を正確に表現する必要があります。

本当に、販売ページの表示を信じ、一般的なCBD製品だと思って購入していたのであれば、

「違法な大麻成分が含まれているとは認識していませんでした」
「THCフリーと表示されていたので、THCは含まれていないと思っていました」
「大麻のような陶酔作用を期待して購入したものではありません」
「警察から連絡が来るまで、規制対象品の可能性を認識していませんでした」
「連絡後は使用していません」

といった事情を、資料とともに説明する必要があります。

 

10 不起訴を求めるためのポイント

 

CBD製品からΔ9-THCが検出された事案で不起訴を求める場合、中心になるのは、故意の有無です。

意見書では、たとえば次のような事情を整理します。

・購入者は違法薬物目的で購入したものではないこと
・販売店が一般向けにCBD製品として販売していたこと
・販売ページに合法、THCフリー、国内基準適合等の表示があったこと
・検査証明書等があり、購入者が違法性を疑いにくかったこと
・価格、包装、販売方法が通常のCBD製品として自然だったこと
・大麻様の陶酔作用を期待していなかったこと
・使用感も大麻様作用を認識させるものではなかったこと
・警察から連絡を受けた後、使用、譲渡、隠匿、廃棄をしていないこと
・製品、外箱、購入履歴等を保存していること
・自発的提出又は捜査協力をしていること
・薬物前科、薬物関係者とのつながり、営利目的がないこと
・今後、CBD関連製品を購入しない、又は購入時に成分確認を徹底するなど再発防止策を取っていること

一方で、検察官は、危険ドラッグ裁判例の考え方を踏まえて、「合法と表示されていたとしても、規制対象成分が含まれる可能性を認識していたのではないか」と見てくる可能性があります。

そのため、弁護側としては、危険ドラッグ型の事案とは違い、通常のCBD製品として購入した事案であることを、具体的な証拠で示す必要があります。

 

11 薬院法律事務所でできること

 

薬院法律事務所では、CBD製品、カンナビノイド製品、大麻、指定薬物、麻薬及び向精神薬取締法違反に関する相談を受けています。

この種の事案では、単に「初犯だから大丈夫」「少量だから大丈夫」という見通しでは不十分です。

重要なのは、次の点です。

・製品が客観的に規制対象なのか
・購入時期、所持時期、使用時期はいつか
・本人が何を認識していたか
・販売ページや検査証明書が残っているか
・危険ドラッグ型の事案と区別できるか
・尿検査との関係をどう説明するか
・警察に製品をどう提出するか
・取調べでどのように説明するか
・検察官に不起訴意見書を出すべきか
・勤務先や家族への影響をどう抑えるか

過去にも、購入時には合法なリラックス商品として入手したものが、本人の知らないうちに規制対象となり、警察の取調べと書類送検を受けたものの、最終的に不起訴処分となった事案があります。

CBD製品の事件でも、最初の対応を誤ると、故意があるように見られたり、証拠隠滅を疑われたりする危険があります。

警察から連絡が来た段階、家宅捜索を受けた段階、尿検査を求められた段階、製品から大麻成分が検出されたと知った段階で、早めにご相談ください。

 

まとめ

合法なCBD製品だと思って購入したものから、後に大麻成分、特にΔ9-THCが検出されることがあります。

CBDそのものが直ちに違法というわけではありません。しかし、製品中のΔ9-THCが残留限度値を超える場合、その製品は麻薬として規制される可能性があります。

その場合でも、購入者が直ちに処罰されるとは限りません。

刑事事件では、本人が違法な薬物を所持・使用していると認識していたか、少なくとも身体に有害で違法な薬物類かもしれないと認識していたかが問題になります。

販売ページに「合法」「THCフリー」「国内基準適合」と表示されていた、一般的なCBD製品として購入した、大麻様の効果を期待していなかった、警察から連絡後は使用・譲渡・隠匿・廃棄をしていない、といった事情があれば、故意を否定し、不起訴を求める余地があります。

一方で、「合法と書いてあったから大丈夫」と安易に考えるのは危険です。

警察から連絡が来た場合には、製品を使わず、捨てず、渡さず、販売店に返送せず、購入資料を保存してください。

そのうえで、薬物事件に詳しい弁護士に早めに相談することをお勧めします。

 

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